鹿島/山岳トンネル自動吹付・遠隔建込み/実工事に初導入 | 建設通信新聞Digital

9月5日 金曜日

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鹿島/山岳トンネル自動吹付・遠隔建込み/実工事に初導入

吹き付け機の全景
 鹿島は、山岳トンネル自動化施工システム「●(Aの4乗)CSEL for Tunnel(クワッドアクセル・フォー・トンネル)」のうち、吹き付け・建て込み作業の自動化・遠隔技術を搭載した「エレクタ付き2ノズル自動吹付け機」を実現場に初導入した。切り羽近傍への立ち入りを不要として安全性を向上させながら、オペレーター1人で二つのノズルを使った自動吹き付けと遠隔操作での支保工の建て込みにより施工の効率化を図った。
 鹿島は2024年に神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)で、山岳トンネル工事の掘削作業6ステップの▽穿孔(せんこう)▽装薬・発破▽ずり出し▽アタリ取り▽吹き付け▽ロックボルト打設--に使用する重機全ての自動化・遠隔化に成功している。
 今回、横浜高速鉄道発注の「みなとみらい21線車両留置場建設工事(土木工事)」に導入した自動吹き付けシステムは、単純な単心円形状の掘削断面だけではなく、馬てい形や扁平(へんぺい)断面などに対応し、従来のシステムに比べて適用可能なトンネル形状の種類を大幅に拡大した。また、新たに開発したシミュレーターにより作業を3D座標空間上で再現し、事前に任意の断面形状での吹き付け・建て込み動作を検証できる。
 自動吹き付けの出来形や動作データを蓄積することによって、シミュレーターによる作業前の動作検証と実績の分析・評価ができるため、迅速に次の施工サイクルでの改善が可能。吹き付け動作を最適化することで、試験坑道とは異なる掘削形状でも同等の吹き付け時間、吹き付け仕上がり精度を確保する。
 安全面では建て込みガイダンスシステムの適用に加えて高強度吹き付けコンクリートを採用し、金網の設置作業を不要とした。吹き付け・建て込み作業で、人が切り羽近傍に立ち入ることなく、肌落ち災害の危険がない安全な作業環境を実現した。