【万博、首都圏工事が業績けん引/木造建築の可能性模索】
2025年9月期の上期は、大阪・関西万博や首都圏の工事が業績をけん引した。万博では商習慣の違いや海外イベント企業の国内進出への対応に追われたが、グローバル展開など新たな可能性も広がった。国内は建設コストの上昇が懸念される中「30年までは十分な仕事量が確保できる」と見込む。 --24年度の振り返りと25年度の見通しは
「ニシオホールディングスの25年9月期の中間決算では、売り上げが前年同期比9.9%増となる1115億円、経常利益が12.4%増の111億円だった。通期は売り上げが4.5%増の2080億円、経常利益が2.3%増の178億円となる見通しだ」
「大阪・関西万博関連工事が業績に貢献した。コロナ禍で見送られていた鉄道施設の更新工事なども回復した。首都圏では建築工事が好調だったが、今後は大規模プロジェクトのはざまの時期に入るだろう。半導体工場や防衛関係施設などの投資は旺盛だが、エリアや時期による波はあるかもしれない」
--注力する事業・領域は
「万博関連のパビリオンなどに採用された木造モジュールに力を入れる。そのうち2施設は、リース契約となっており、会期終了後に転用することを目指している。課題もあるが、新技術を活用し、木造建築の可能性を模索したい」
「木造モジュールでつくる無柱の大空間は海外から注目されている。イタリアと日本は地震が多いため、双方のメンテナンス技術で古い教会などの歴史的建造物を調査する事業にも貢献したい。海外のイベント会社や万博で築いた国との関係も生かし、新たな展開を図りたい」
「国内では、建築事業の生産性向上を狙う。民間工事はコスト意識が高く、新技術の導入は難しい面があるが、レンタルという形で設備や機材を提案していく。咲洲のR&D国際交流センターを実証実験の場として活用していきたい」
--担い手不足と人材育成の対応について
「業界全体の担い手不足にも対応したい。例えば、チルトローテーターなどの新たなアタッチメントを活用する企業がある。こうした見慣れない先端の建機などを展示し、若者に興味を持ってもらう。業界全体の担い手不足と生産性向上に対応する」
--長期的な市場動向と事業の方向性は
「建機メーカーが力を入れるICT工事は、どちらかと言えば大型の土木工事が中心だが、都市部の中小土木工事や建築工事などにも力を入れ、差別化を図りたい」
【横顔】
(にしお・まさし)市場の動向について、広い視野を持ち、常に先を見据えている。新たな事業領域への展開を語る表情に力強さを感じた。
2025年9月期の上期は、大阪・関西万博や首都圏の工事が業績をけん引した。万博では商習慣の違いや海外イベント企業の国内進出への対応に追われたが、グローバル展開など新たな可能性も広がった。国内は建設コストの上昇が懸念される中「30年までは十分な仕事量が確保できる」と見込む。 --24年度の振り返りと25年度の見通しは
「ニシオホールディングスの25年9月期の中間決算では、売り上げが前年同期比9.9%増となる1115億円、経常利益が12.4%増の111億円だった。通期は売り上げが4.5%増の2080億円、経常利益が2.3%増の178億円となる見通しだ」
「大阪・関西万博関連工事が業績に貢献した。コロナ禍で見送られていた鉄道施設の更新工事なども回復した。首都圏では建築工事が好調だったが、今後は大規模プロジェクトのはざまの時期に入るだろう。半導体工場や防衛関係施設などの投資は旺盛だが、エリアや時期による波はあるかもしれない」
--注力する事業・領域は
「万博関連のパビリオンなどに採用された木造モジュールに力を入れる。そのうち2施設は、リース契約となっており、会期終了後に転用することを目指している。課題もあるが、新技術を活用し、木造建築の可能性を模索したい」
「木造モジュールでつくる無柱の大空間は海外から注目されている。イタリアと日本は地震が多いため、双方のメンテナンス技術で古い教会などの歴史的建造物を調査する事業にも貢献したい。海外のイベント会社や万博で築いた国との関係も生かし、新たな展開を図りたい」
「国内では、建築事業の生産性向上を狙う。民間工事はコスト意識が高く、新技術の導入は難しい面があるが、レンタルという形で設備や機材を提案していく。咲洲のR&D国際交流センターを実証実験の場として活用していきたい」
--担い手不足と人材育成の対応について
「業界全体の担い手不足にも対応したい。例えば、チルトローテーターなどの新たなアタッチメントを活用する企業がある。こうした見慣れない先端の建機などを展示し、若者に興味を持ってもらう。業界全体の担い手不足と生産性向上に対応する」
--長期的な市場動向と事業の方向性は
「建機メーカーが力を入れるICT工事は、どちらかと言えば大型の土木工事が中心だが、都市部の中小土木工事や建築工事などにも力を入れ、差別化を図りたい」
【横顔】
(にしお・まさし)市場の動向について、広い視野を持ち、常に先を見据えている。新たな事業領域への展開を語る表情に力強さを感じた。