【中小の初期投資へ補助訴え】
全国建設業協会(今井雅則会長)は24日の理事会で、政府との申し合わせに基づく生産性向上計画を決定した。2029年度の労働生産性を24年度比で9%向上させるという目標の達成に向け、地域建設業でも取り組みやすい項目のKPI(重要業績評価指標)を設定。今後5年間で、ICT施工に取り組んでいる会員企業の割合を85%まで高めることなどを掲げた。ICT機器やソフトウエアの調達など、生産性向上ツールに対する初期投資が中小建設会社にとって大きなハードルになっていることから、初めの一歩を支援する補助金制度の拡充や継続なども訴えている。 2月に首相官邸で開かれた石破茂首相、中野洋昌国交相らと建設業4団体との車座対話の合意事項を踏まえた生産性向上計画は、25-29年度の5カ年を対象期間とする。目標は、国交省が策定した建設業の省力化投資促進プランに沿った。
ICT活用に関するKPIによると、▽ICT施工実施率を85%(25年度比28.0ポイント上昇)▽施工管理アプリ活用率を90%(26.7ポイント上昇)▽電子黒板活用率を90%(29.8ポイント上昇)▽電子契約サービス活用率を80%(35.6ポイント上昇)▽BIM/CIM活用率を40%(21.3ポイント上昇)▽受発注者間情報共有システム(ASP方式)活用率を70%(25.0ポイント上昇)▽ウエブカメラ活用率を60%(36.5ポイント上昇)--という7項目を設定した。
また、生産性向上に関する取り組みの周知・啓発の観点では、29年度までに計150件のICT活用事例などを収集し、会員各社と共有するとした。機関誌「全建ジャーナル」や技術研究発表会などを通じて、広く情報提供する。
全建の会員アンケートによると、ICT機器などの調達に要する多大なコスト、発注者側の意識・発注者への働き掛け不足、活用事例の情報不足が主な課題に挙がった。中でも最大のネックはイニシャルコストの負担だ。ICT施工は全体の57.0%が取り組んでいるが、これを資本金階層別に見ると大きな差が現れる。資本金1億円以上は85.9%と進展しているが、圧倒的に母数の多い資本金1億円未満は55.0%にとどまる。
一方、ICT施工に対する今後の取り組み姿勢は、1億円未満階層でも8割近くが前向きな意向を示しており、必要性は認識しているものの、コスト面がネックになって、取り組みたくても取り組めないジレンマがうかがえる。中小建設企業からは、受注者側の人材育成・体制整備、ICT建機の価格(リース料)・機能面の改善を含めた体制充実、助成制度の拡充(人材育成・設備投資)が課題との声が多く寄せられている。
中小建設企業のニーズの高さを裏付けるように、全建が予算執行を担当する国交省の新たな補助事業「建設市場整備推進事業費補助金」は、1次公募で予算枠が全て埋まった。全建として今後も、中小の生産性向上に有益な補助金制度の継続を国に要望していく方針だ。
生産性向上計画の目標項目・数値は、達成状況や発注者側の対応状況、国の施策動向、フォローアップ調査の結果などに応じて柔軟に見直す。KPIにあるASP活用などは発注機関に寄るところが大きく、地域建設業が主戦場とする自治体工事での取り組み強化も欠かせない。
全国建設業協会(今井雅則会長)は24日の理事会で、政府との申し合わせに基づく生産性向上計画を決定した。2029年度の労働生産性を24年度比で9%向上させるという目標の達成に向け、地域建設業でも取り組みやすい項目のKPI(重要業績評価指標)を設定。今後5年間で、ICT施工に取り組んでいる会員企業の割合を85%まで高めることなどを掲げた。ICT機器やソフトウエアの調達など、生産性向上ツールに対する初期投資が中小建設会社にとって大きなハードルになっていることから、初めの一歩を支援する補助金制度の拡充や継続なども訴えている。 2月に首相官邸で開かれた石破茂首相、中野洋昌国交相らと建設業4団体との車座対話の合意事項を踏まえた生産性向上計画は、25-29年度の5カ年を対象期間とする。目標は、国交省が策定した建設業の省力化投資促進プランに沿った。
ICT活用に関するKPIによると、▽ICT施工実施率を85%(25年度比28.0ポイント上昇)▽施工管理アプリ活用率を90%(26.7ポイント上昇)▽電子黒板活用率を90%(29.8ポイント上昇)▽電子契約サービス活用率を80%(35.6ポイント上昇)▽BIM/CIM活用率を40%(21.3ポイント上昇)▽受発注者間情報共有システム(ASP方式)活用率を70%(25.0ポイント上昇)▽ウエブカメラ活用率を60%(36.5ポイント上昇)--という7項目を設定した。
また、生産性向上に関する取り組みの周知・啓発の観点では、29年度までに計150件のICT活用事例などを収集し、会員各社と共有するとした。機関誌「全建ジャーナル」や技術研究発表会などを通じて、広く情報提供する。
全建の会員アンケートによると、ICT機器などの調達に要する多大なコスト、発注者側の意識・発注者への働き掛け不足、活用事例の情報不足が主な課題に挙がった。中でも最大のネックはイニシャルコストの負担だ。ICT施工は全体の57.0%が取り組んでいるが、これを資本金階層別に見ると大きな差が現れる。資本金1億円以上は85.9%と進展しているが、圧倒的に母数の多い資本金1億円未満は55.0%にとどまる。
一方、ICT施工に対する今後の取り組み姿勢は、1億円未満階層でも8割近くが前向きな意向を示しており、必要性は認識しているものの、コスト面がネックになって、取り組みたくても取り組めないジレンマがうかがえる。中小建設企業からは、受注者側の人材育成・体制整備、ICT建機の価格(リース料)・機能面の改善を含めた体制充実、助成制度の拡充(人材育成・設備投資)が課題との声が多く寄せられている。
中小建設企業のニーズの高さを裏付けるように、全建が予算執行を担当する国交省の新たな補助事業「建設市場整備推進事業費補助金」は、1次公募で予算枠が全て埋まった。全建として今後も、中小の生産性向上に有益な補助金制度の継続を国に要望していく方針だ。
生産性向上計画の目標項目・数値は、達成状況や発注者側の対応状況、国の施策動向、フォローアップ調査の結果などに応じて柔軟に見直す。KPIにあるASP活用などは発注機関に寄るところが大きく、地域建設業が主戦場とする自治体工事での取り組み強化も欠かせない。