高市首相が所信表明演説/戦略的に財政出動/インフラ老朽化対策も徹底 | 建設通信新聞Digital

11月3日 月曜日

行政

高市首相が所信表明演説/戦略的に財政出動/インフラ老朽化対策も徹底

 高市早苗首相は24日、臨時国会で所信表明演説に臨んだ。「今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済をつくる」と決意を述べ、「責任ある積極財政」の考えの下、戦略的に財政出動を行う方針を示した。国土強靱化については「事前防災や応急対策、復旧・復興は国として対応すべき最優先課題」とし、2026年度の防災庁設立を急ぐとともに、最先端技術を活用したインフラ老朽化対策などの予防保全を徹底する考えを表明した。
 物価高に対しては「継続的に賃上げができる環境を整えることこそが政府の役割」と語り、早期に経済対策を取りまとめて必要な補正予算を国会に提出することを誓った。国・地方自治体から民間への請負契約単価の適切な見直しや、中小企業・小規模事業者に向けた生産性向上支援、事業承継やM&A(企業の合併・吸収)の環境整備、さらなる取引適正化にも取り組む姿勢を見せた。
 経済成長戦略の肝は「危機管理投資」とし、経済や食料、エネルギー、国土強靱化などのさまざまな課題やリスクに対し官民連携の積極投資を引き出していく方針を示した。具体的には、AI(人工知能)・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティーなどの分野で投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ(新興企業)振興など多角的に支援していく。
 エネルギー問題には、GX(グリーントランスフォーメーション)予算を活用し、脱炭素電源の最大限活用や光電融合技術による徹底した省エネや燃料転換を進める考えだ。次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装も目指す。
 事前防災では、予測技術の向上を踏まえた洪水の特別警報や高潮の共同予報を新たに実施する制度改正を行うほか、首都の危機管理機能をバックアップする体制の構築に向け、副首都に関する検討を急ぐ。
 地方経済の振興に向けては「地域未来戦略」を推進する。地域を越えたビジネス展開を図る中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講じることで地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成させる。
 防衛費と関連経費は、27年度に国内総生産(GDP)比2%とする現行の目標を今年度に前倒しして措置する方針を打ち出した。防衛生産基盤・技術基盤の強化などに努める。