公共工事の入札段階で落札候補者に労務賃金調書の提示を求めるなど、技能者への賃金支払いを独自に確認している都道府県・政令市が16団体に上ることが国土交通省の調査で分かった。改正建設業法の全面施行で運用が始まる労務費の基準(標準労務費)は、確保された労務費が技能者に賃金として行き渡ることが鍵となる。公共工事の実効性を確保する上では、発注者によるこうした主体的な対策が求められる。
調査は2025年度下期ブロック監理課長等会議に先立ち実施した。都道府県・政令市に対し、発注工事で技能者への賃金支払いを確認しているかを聞いた。
宮城県は工事請負契約に先立ち、落札候補者に対して下請けも含めた詳細な工事費内訳書や労務賃金調書の提示を求める施工体制事前提出(オープンブック)方式を採用し、賃金支払い状況の把握に努めている。
相模原市は工事請負契約などの労働報酬の下限額を定める公契約条例を制定。予定価格1億円以上の工事の受注者に労働状況台帳の提出を義務づけ、下請けを含めた労働者の賃金が下限額を下回っていないかを確認している。
低入札価格調査で賃金支払いに関する書類の提出を求める事例もあった。堺市では低入札価格調査の対象者に、現場労働者の供給見通しを示す資料を提出させる。技能者に支払う賃金の詳細について、2次以下を含む全ての下請け分の記載を求め、工事完了後に提出される賃金支払い状況報告書と相違がないかを確かめている。
賃金支払い状況を把握するため、実態調査をしている団体も見られた。新潟市では市発注の工事などで働く労働者の賃金を確認する抜き取り調査を毎年度実施。公共工事設計労務単価で区分する51職種を対象に1時間当たりの賃金の平均額などを算出し、設計労務単価との差額を比較分析している。
一方で独自の取り組みを行っていない団体からは「受発注者双方の事務負担が大きい」(岡山県)、「人員体制の確保が困難」(島根県)など業務負荷を理由に挙げる意見が出た。また、長崎県では対策を実施していたものの、事務負担が過大となり23年度に廃止したという。
このほか、「元下間の契約で労務費が明示されていないため検証できない」(山形県)という意見もあった。
調査は2025年度下期ブロック監理課長等会議に先立ち実施した。都道府県・政令市に対し、発注工事で技能者への賃金支払いを確認しているかを聞いた。
宮城県は工事請負契約に先立ち、落札候補者に対して下請けも含めた詳細な工事費内訳書や労務賃金調書の提示を求める施工体制事前提出(オープンブック)方式を採用し、賃金支払い状況の把握に努めている。
相模原市は工事請負契約などの労働報酬の下限額を定める公契約条例を制定。予定価格1億円以上の工事の受注者に労働状況台帳の提出を義務づけ、下請けを含めた労働者の賃金が下限額を下回っていないかを確認している。
低入札価格調査で賃金支払いに関する書類の提出を求める事例もあった。堺市では低入札価格調査の対象者に、現場労働者の供給見通しを示す資料を提出させる。技能者に支払う賃金の詳細について、2次以下を含む全ての下請け分の記載を求め、工事完了後に提出される賃金支払い状況報告書と相違がないかを確かめている。
賃金支払い状況を把握するため、実態調査をしている団体も見られた。新潟市では市発注の工事などで働く労働者の賃金を確認する抜き取り調査を毎年度実施。公共工事設計労務単価で区分する51職種を対象に1時間当たりの賃金の平均額などを算出し、設計労務単価との差額を比較分析している。
一方で独自の取り組みを行っていない団体からは「受発注者双方の事務負担が大きい」(岡山県)、「人員体制の確保が困難」(島根県)など業務負荷を理由に挙げる意見が出た。また、長崎県では対策を実施していたものの、事務負担が過大となり23年度に廃止したという。
このほか、「元下間の契約で労務費が明示されていないため検証できない」(山形県)という意見もあった。













