重層構造解消 規制・誘導の観点必要/技能者直用化で意見/国交省勉強会 | 建設通信新聞Digital

12月25日 木曜日

行政

重層構造解消 規制・誘導の観点必要/技能者直用化で意見/国交省勉強会

 建設業政策の今後の方向性を話し合う国土交通省の有識者勉強会は、企業経営の視点に立った人的資源の在り方を模索している。担い手確保だけでなく、建設会社で働く人材の教育や配置、マネジメントを論点に設定。人材の確保・定着に向けて、月給化を目指すべきとする意見や、他産業と比べて低い退職金を問題視する声が出た。人的資源の能力発揮を阻む恐れのある重層下請け構造を是正するため、規制と誘導の両面で技能者の直接雇用を促す政策的アプローチもあり得るといった提言が挙がった。
 11月5日に開いた「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」の第4回会合の議事概要を公表した。次回まで人的資源に焦点を当てて議論する。臨時委員としてクラフトバンクの高木健次氏、フォトラクションの中島貴春代表取締役CEOが出席した。
 人材の確保・定着に関して、ある委員は学生が入職を検討する上では月給制が重要になるとし、働き方改革が進展する現状も踏まえ月給化を目指すべきと指摘した。他産業と比べ低い退職金が定着の障壁と問題提起する声もあった。
 社員教育をはじめ人的資源の能力を高める取り組みをするためには利益を出せる企業体質でなければならないとし、経営者の育成を重要視する意見が出た。
 重層下請け構造についても国交省が行った調査結果を参照しながら意見を交わした。ある委員は繁閑調整など建設業特有の事情によって、重層構造が「結果として生じている」と指摘。是正する場合に取り得る政策の例に技能者の直接雇用の促進を挙げ、規制や誘導、働き方の多様化といった観点での対応が考えられるとした。
 これまでの勉強会で論点とした建設会社の規模や数の在り方を巡る意見も集中した。ある委員は会社数の多さについて、個別最適の視点では必然性がある一方、業界全体で見ると問題につながっている可能性があると分析。個社の人材採用・育成、先進技術への投資が十分かどうかの視点で業界を俯瞰(ふかん)することで、個別最適と全体最適の課題を整理できると提案した。
 別の委員は生産効率の観点から零細企業の比率が高まっていることを問題視し、単に会社数を減らすのではなく、産業として最適な構成とする視点が必要と指摘した。