作家・東野圭吾さんの訃報に衝撃を受けた。高校時代に名古屋駅前の映画館で同氏の小説が原作となる映画『真夏の方程式』を見た記憶がよみがえる。俳優の福山雅治さんが演じる天才物理学者が事件を解決する人気シリーズだ◆あれから10年余り。かつて通った駅周辺では大規模な再開発が計画されている。見慣れた景色が消えゆくことに、ふと哀愁を感じずにはいられない◆まちが生まれ変わる裏側には、長年その土地を守り、手放す決断をした地権者たちの深い思いがある。日々の取材の中で決して忘れてはならないのは、こうした見えない人々の記憶と喪失感に寄り添う姿勢だ◆全国各地で都市の再開発やインフラの更新が進められている。人々の思いや記憶を受け継ぐ空間創出こそが、未来の建設業に求められる姿かもしれない。
