23年末の直轄BIM/CIM実施状況/「作業員らへの説明」が最多/義務項目の工事取組みで/国交省 | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

行政

23年末の直轄BIM/CIM実施状況/「作業員らへの説明」が最多/義務項目の工事取組みで/国交省

BIM/CIMの効率化効果に関するアンケート結果
 国土交通省は、2023年度から原則全ての直轄土木業務・工事に適用しているBIM/CIMについて、23年4月から12月までの原則適用初年度9カ月間の取り組み状況をフォローアップした結果をまとめた。受注者が実施しなければならない3次元モデル作成・活用の義務項目で最も多く行われたのは、業務が「出来上がり全体イメージの確認」、工事が「現場作業員らへの説明」だった。地方整備局へのアンケートでは、BIM/CIMの効果に7割弱が「合意形成の効率化」を挙げた。 12月末の速報値として、22日に開いたBIM/CIM推進委員会の第11回会合で報告した。
 義務項目の実施状況は、業務(詳細設計)で「出来上がりイメージの確認」「特定部(既設との接続)の確認」「特定部(障害物)の確認」「特定部(高低差)の確認」の順に多かった。設計段階で3次元モデルを作成している場合に行う工事の義務項目は、「現場作業員らへの説明」の後を「施工計画の検討補助」「2次元図面の理解補助」が続いた。
 一定規模・難易度の事業を対象に、義務項目に加えて、受注者が一つ以上の実施を目指す推奨項目の実施状況を見ると、業務(測量、地質・土質調査、概略設計、予備設計、詳細設計)と工事のどちらも「施工ステップの確認」が最も多く行われた。業務は、「官民境界の確認」「視認性の確認」「作業範囲などの確認」なども多く実施されている。工事は、「施工ステップの確認」の後を「現場条件の確認」「施工管理での活用」「鉄筋の干渉チェック」「重ね合わせによる確認」が続く。
 事務所の課長、出張所長以下でBIM/CIM活用経験がある職員を対象として、23年12月に初めて実施した整備局アンケートの結果も委員会に示した。
 BIM/CIMによって効率化されたものは、「受注発注者間での合意形成がスムーズになった」が28%、「関係機関協議先での合意形成がスムーズになった」が21%、「発注者所内説明での合意形成がスムーズになった」が16%で、この三つを合わせると合意形成の効率化が65%を占めた。一方、「効率的になったものはない」は11%で、一定数あった。
 反対に非効率になったものは、「BIM/CIMモデルの作成に手間(時間、費用、人)が掛かる」が33%で最も多かった。この後を「BIM/CIM関係の基準要領が多くあり、把握するのに多くの時間が必要になる」の25%、「現状、2次元図面とBIM/CIMモデルの両方を作成する必要がある」の16%が続いた。
 成果品として納入された3次元モデルの活用方法は、「活用していない・できていない(業務未完了の段階も含むため)」が26%、「関係機関協議で活用している」が21%、「地元説明で活用している」が20%などとなっている。