大型コンクリ構造物の最適工法選定/VFMに定性的項目追加/妥当性、配点中心に検証/国交省 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

行政

大型コンクリ構造物の最適工法選定/VFMに定性的項目追加/妥当性、配点中心に検証/国交省

2月28日のコンクリート生産性向上検討協議会で、コスト至上主義から脱却する必要性を示した林官房技術審議官(中央)
 国土交通省は、大型コンクリート構造物の工法選定に当たり、生産性向上などコスト以外の要素を含めて比較する「VFM(バリュー・フォー・マネー)を取り入れた評価手法」の検討に当たり、新たな評価項目案をまとめた。2022年度に整理した評価項目案に、数値化できない定性的評価項目を追加し、コスト、定量的評価項目と合わせた3要素で現場に最も適した工法を選ぶ。24年度は、新規発注の設計業務で初めて試行するなど、評価項目の妥当性や配点の重み付けを中心に検証。25年度の実装を目指し、24年度末に実施要領案を作成する。 2月28日に冒頭以外を非公開で開催したコンクリート生産性向上検討協議会の第13回会合に示した。あいさつした林正道官房技術審議官は、人手不足が避けられない中、担い手確保と生産性向上の二つが不可欠と指摘し、建設現場の生産性向上に向けては「コスト至上主義ではなく、しっかりと評価して良い技術を使っていく」と強調した。
 VFMを取り入れた評価手法の検討は、プレキャスト(PCa)工法の導入促進に向けた対応。PCa工法は、生産性向上などに効果がある一方、大型コンクリート構造物では現場打ちコンクリートに比べてコストが高く、主にコストを比較して工法選定する従来方法で不利だったためだ。
 21年度から検討を進めている国交省は、23年度の検証結果を踏まえて評価項目案(コストと定量的評価項目の2要素で構成)を見直し、定性的評価項目を追加した3要素から成る新たな評価項目案をまとめた。
 定性的評価項目の具体的な項目は、「省人化・省力化」「働き方改革寄与度」「安全性向上」「出来形・出来栄え」の四つが基本。地域性に応じて、「施工性(生産性向上)」「施工への影響」「維持・管理」「景観」の四つを選択可能とする。「働き方改革寄与度」では技術者の負荷軽減度を評価するなど、項目別の評価指標も明確化した。
 24年度は、直轄で新規発注する大型コンクリート構造物の設計業務に、新たな評価項目案を適用する試行を初めて実施する。試行件数は各地方整備局1、2件を想定。さまざまな現場条件下で、PCa工法と現場打ちコンクリート工法のどちらが優位になるかを検証する。
 また、23年度と同様に、過年度に設計した業務の成果に適用する取り組みを実施する。各整備局から3、4件程度の成果報告書を取り寄せ、新たな評価項目案に基づく結果を試算する。受発注者へのフォローアップ調査も行う。