24年度にVFM試行工事/PCaで生産性向上/九州PCa協と九州整備局が意見交換 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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24年度にVFM試行工事/PCaで生産性向上/九州PCa協と九州整備局が意見交換

 コンクリート製品業界3団体で構成する九州PCa協議会(茂森拓会長)と九州地方整備局は13日、福岡市の福岡第2合同庁舎で意見交換会を開いた=写真。大型コンクリート構造物の工法選定の際に生産性向上などコスト以外の要素を含めて比較するVFM(バリュー・フォー・マネー)の評価手法や、低炭素型コンクリートの普及などについて意見を交わした。同局は、VFMの評価手法を取り入れた試行工事を24年度に実施する考えを示した。
 九州PCa協議会は、九州コンクリート製品協会と全国土木コンクリートブロック協会九州地区連絡協議会、道路プレキャストコンクリート製品技術協会(RPCA)九州・沖縄支部の3団体で構成。整備局との意見交換は2018年度から実施している。この日は、各団体の会長・支部長ら幹部、整備局からは阿部成二企画部技術調整管理官らが出席した。
 阿部管理官は「プレキャスト(PCa)で作業全体をいかに効率良く進めるかが重要だ。価格以外のメリットを含め、技術を積極的に活用しないと時間外労働の是正などの課題を解決できない」と強調した。茂森会長は「VFMの推進など、皆さんのさまざまな対応に感謝している。そうした動きに合わせてわれわれもしっかりと取り組みたい」と述べた。
 生産性向上などの効果が見込まれるPCa製品の採用では、VFMの推進について議論を深めた。同局は、省人化効果や働き方改革、環境負荷低減などのPCaの優位性を含めた評価手法の25年度導入を目標に国土交通省が検討していると報告した。一方で、同局は生産性向上や働き方改革を前に進める上で、「良い現場があれば少しでも先に試すことが大事」との考えから、24年度に試行工事を発注する用意があるとした。
 脱炭素化の実現に向けて同局が発注したモデル工事「低炭素型コンクリートブロック活用工事」も議題となった。同協議会は、会員を対象にしたアンケート結果を提示。低炭素型コンクリート製品を供給可能な工場は、福岡と熊本が各6工場、佐賀と大分、宮崎1工場。このうち一般製品との価格差は5社が「上がる」と回答した。
 低炭素型コンクリート製品を製造していない会員企業からは「高炉スラグやフライアッシュなどの混和剤が安定して供給される必要がある」「規格が制定されれば製造しやすい」「将来的に材料などが変わる余地が大きく、設備投資に踏み切りにくい」などの回答があった。