カテンダは、BIMプロジェクトでのデータ活用が高度化する中で、CDE(共通データ環境)プラットフォーム『Catenda Hub』を軸に、管理プロジェクトにアクセスできるBIMモバイルアプリ『Catenda Site』、拡張ソリューション『Catenda Boost』、運用フェーズまで拡張する『Catenda Duo』という三つのソリューションを拡充してきた。
欧州における空の玄関口ともいわれるオランダ最大のアムステルダム・スキポール空港ではCatenda Hubを施設管理のプラットフォームとして全面採用している。同社日本法人の川井達朗カスタマーサクセスマネージャーは「常に拡張工事が進行する空港施設を管理するプラットフォームとしてCatenda Hubが最大限に効果を発揮している」と語る。
欧州では、複数棟の建物を維持管理するプラットフォームとして『Catenda Duo』を活用してFM(ファシリティ・マネジメント)の専用システムを構築するケースも増えている。ホーバル・ベルCSO(最高戦略責任者)は「不動産デベロッパーに加え、大学など複数施設を所有・管理するような事業者などが日常的に使うFMツールと連携したプラットフォームを構築している」と説明する。
それを実現するCatenda Duoは、日本ではまだ未発売だが、建物を群管理するプラットフォームとして「日本でもニーズが高まるだろう」と考えている。Catenda Hubのユーザーは多岐にわたる。海外ではプラットフォーム上で自らの事業を円滑に管理できる専用システムを拡張する要求も多くあり、Catenda Boostの活用事例も拡大している状況だ。
一方でプラットフォーム内の情報をモバイル端末で共有するCatenda Siteもプロジェクト関係者をつなぐ有効なツールになっている。平野雅之マーケティングマネージャーは「Catenda Hubを軸に三つのソリューションが密接に補完し合いながらCDEの中に蓄積したデータを有効に機能させている」と強調する。
同社は日本法人化を足掛かりに、日本企業への提案活動を積極的に展開する。既に販売代理店として2023年7月からグローバルBIM(東京都港区)がBIMコンサルティングに合わせて日本企業への提案を進めており、Catenda Hubの導入企業を増やしている。川井氏は「動き出すBIM確認申請のニーズに対しても積極的にアプローチしていく」と先を見据えている。
民間確認検査機関にはCatenda Boostによるシステム基盤づくりを担い、設計事務所や建設会社にはCatenda Hubのドキュメント機能を使った円滑な申請の枠組みを支援していく。建築主事も含め日本全国に確認検査機関が多数あることから、地域性も含めた細かな要件も反映したプラットフォームを提供していく方針だ。
何よりも重要視するのは、BIM確認申請をきっかけに広がるIFCデータ活用の機運だ。同社は10月24日に東京・有明のTFTホールで開かれるBIMイベント「Archi Future2024」に単独で初出展する。「BIMの次のステップ」をテーマに、CDEによるBIMコラボレーションを解説する同社のセッションは受付開始から早々に定員を満たす盛況ぶり。ベル氏は「openBIMの時代が明確になり、これによって日本のBIMは新たなステージを迎えることになる。その流れをCatenda Hubが先導していきたい」と力を込める。