【NC機械で6割省力化】職人の処遇改善も期待/イワイ工業 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【NC機械で6割省力化】職人の処遇改善も期待/イワイ工業

最新式のNC機械

 型枠業を営むイワイ工業(北九州市)は、生産性向上の一環で最新式のNC(数値制御)機械を導入した。これまで人が担っていた型枠部材の加工を機械化することで約6割の省力化を見込む。現場作業により多くの時間を充てて1日当たりの施工量を増やし、職人の賃金上昇や休日取得などの処遇改善につなげる。21日から試運転を始めており、11月に本格稼働する。

 加工帳を頼りに職人が木材を加工し、柱や壁、天井などの箇所ごとに適した型枠を製作していた従来の方法からの転換を図る。NC機械は、型枠展開図作成ソフトにCADデータを取り込んで施工図から展開した加工帳を作成し、合板を必要なサイズに切断、型枠の幅を決め強度を保つ「セパレータ」を差し込む穴を開けるといった加工作業を自動で行う。取り込んだ図面を基に、端材が出にくい最適な組み合わせを選ぶ仕様で、最終的に施工箇所ごとに部材をまとめて現場に送るため、プレキャスト化のように現場作業のほとんどは部材の組み立てだけで済む。

 一般的な型枠工事は、マンションで2、3割、病院で3、4割の時間が加工に充てられる。1フロアに1カ月を要するとして加工は7-10日程度が必要になる計算だ。イワイ工業によると、NC機械の導入で加工にかかる日数を3、4日に短縮でき、現場での作業時間が増える。加工から現場作業を担う職人とは平米単価で契約を結ぶため、施工面積が増えるほど職人の処遇改善につながるとしている。

 加工システムは、イワイ工業元社員の玉澤和善社長が営むティエムソフト(松山市)が考案し、平安コーポレーション(浜松市)が機械部分を製造した。玉澤社長は、約10年前に開発をスタートし、23年後半になって現在の形に仕上がった。

 宮城泰治会長は「型枠業の生産性向上は他業界と比べて遅れている。それだけに型枠の全工程に占める割合が大きい加工を省力化する意味は大きい」と強調する。職人の給料が増え、顧客に対して工期短縮やコストダウンを提案できるといった機械導入の効果を挙げ、「これからも付加価値を提供し、職人や元請け企業に選ばれる会社にしたい」と展望を語った。

 

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