◇次世代通信IOWNで“未来の現場”実現
A 安藤ハザマが、次世代通信技術で2030年ごろの実現を目指すIOWN(アイオン)を使い、ゼネコンとして初めて建設現場のユースケースを構築したね。
B NTTが提唱するIOWN構想は、光電融合技術を使ってネットワークから端末までの通信全てを光ベースの技術で行うことを目指したインフラ構想になるけど、安藤ハザマの狙いは何だろう。
C 全国に同時並行で複数の現場を抱えるというゼネコンの特徴を踏まえ、本支店による統括的な品質向上と安全確保を行うためにIOWNを活用するとした。取得したデータをAI(人工知能)で即時分析し、危険や不具合の事前検出とともに対策提案、次施工へフィードバックすることなどを考えている。
D 建設業界では遠隔臨場のための高画質映像や遠隔操作のための操作信号、出来形計測のための点群データなど現場ごとに取り扱うデータ量は増加傾向にあり、高速・大容量・低遅延通信が求められている。現在の通信技術に比べて遅延は200分の1、伝送容量は125倍、電力効率は100倍になるなどの効果を見込むIOWNの活用はこうした課題を解決するだけではなく、新たな建設生産システムを生み出す可能性も秘める。
C 安藤ハザマは、ロードマップも示している。26年ごろには任意の時間と場所で本支店担当職員による複数現場のパトロール、29年ごろには建設現場内での危険動作や不具合箇所をAIでリアルタイムに自動検出、32年ごろにはデータに基づく最適な施工方法をAIが提案・判断し、施工オペレーションを遠隔化することなどを想定している。
B “未来の現場”を実現する次世代通信技術には注目する必要があるね。
◇橋梁部6車線化、3本目のトンネル掘削
A ところで、先日開かれた日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)のシンポジウムで、東京湾アクアラインの拡幅が検討されていることが明らかになったそうだが。
E 正確に言うと、シンポジウムの中ではなく、来賓あいさつで森昌文首相補佐官が「拡幅プロジェクトを進めようとしており、もう一度皆さんにも応援いただきたい」と述べた。現在、技術的な勉強を重ねているとのことだ。
F アクアラインを巡っては千葉県が国に対して6車線化など、交通容量の拡充方策について中長期的な視点からの検討を求めている。災害時・緊急時に都心と成田国際空港を結ぶ代替ルートの確保や、地方創生、国土強靱化などを進める上で極めて重要な高速道路だからだ。
A 一番の課題は予算なのだろうが、技術的にも難易度が高いのではないか。
D もちろん簡単ではないが、そもそもアクアラインの橋梁部は現行の4車線から6車線に拡幅できるように建設されたほか、3本目のトンネルを掘り進めることが可能な構造となっているという。
A なるほど。森補佐官の「いまは水面下で検討されているが、しっかりと浮上させる」というコメントが意味深く感じられるね。肝心のJAPICのシンポジウムの内容は。
E 6月に第1弾として提言を公表した「幾北」地域に加え、「民間版国土形成計画」と位置付ける北海道、四国、沖縄各地区の地方開発プロジェクトが報告された。津軽海峡トンネル(第二青函)、四国単線新幹線、沖縄北部新空港整備(伊江島空港再整備)といった基幹インフラの整備に加え、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラルなどの社会課題に対応する自然エネルギー活用のまちづくりを盛り込んでいる。