【記者座談会】建コン協地方ブロック意見交換会・納期平準化とWLB改善求める/建築学会大会・テーマは「育てる」 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】建コン協地方ブロック意見交換会・納期平準化とWLB改善求める/建築学会大会・テーマは「育てる」

建築学会大会では6,657題の学術論文発表と216題の建築デザイン発表会、35の研究集会が開かれた


A 建設コンサルタンツ協会の2017年度地方ブロック意見交換会が7日の関東地区で終了した。
B 村田和夫会長が就任して初めての意見交換会だった。村田会長は各地区の冒頭あいさつで「事業量の確保」「長時間労働の解消」の2点の必要性を訴えていた。特に長時間労働の解消については、近畿地区のあいさつで「品質の確保はもちろん、担い手確保の観点においても重要な問題だ。抜本的な解決に向け、受発注者双方で取り組んでいきたい」と強い意欲を示していた。
C 建コン協からの「要望と提案」は前年度と同じ内容だったが、今回は特に納期の平準化と必要履行期間の確保、ワーク・ライフ・バランス(WLB)の改善を強く求めた。納期の平準化については、年度末納期の割合を下げるように努めたり、翌債、国債制度を活用した複数年契約を行うなど、各地方整備局によってさまざまだが、いずれも取り組みを進めている事例が説明された。
A WLBの改善に向けては。
B 例えば中部整備局は17年度から全業務の初回打ち合わせ時にウィークリー・スタンスの実施を確認していることを報告した。打ち合わせ内容は議事録に残し、18年度に記録様式を集計・分析して課題を抽出する方針を示している。
C 九州整備局は「いきいき現場づくり業務版」や、17年度から本格実施している「労働環境改善の取り組み」などの取り組みを紹介した。
B いずれも受発注者の相互理解のもと、協働による取り組みが欠かせない。愚直であってもこうした意見交換を重ねることで認識の共有を深め、さらなる改善につなげていくことを期待したい。

「町を育てる」「建物を育てる」「若者を育てる」「仕事を育てる」多様なプログラム用意

A ところで日本建築学会の大会が8月末から9月3日にかけて広島市で開かれたが、ことしの特徴は。
D 今回のメインテーマは「育てる」だった。人口減少時代にあって、次代の建築の担い手となる学生や生徒、児童に対しての教育のあり方もそうだが、もっと広義に「町を育てる」「建物を育てる」「仕事を育てる」といった「育てる意識」を共有しようとさまざまなプログラムを用意した。
E 「若者を育てる」に的を絞った記念シンポジウムは、まさに大学生・院生や高校生たちが集い、アーティストの野老朝雄氏や建築家の千葉学氏らと双方向の対話を展開した。登壇した若者の物怖じしない率直な発言にフラットな姿勢で応じる野老、千葉両氏のやり取りは聞いている側も心地良いものがあった。
D 関連行事でもまちづくりを考えるワークショップや学生による語り合いの場、また子ども教育支援建築会議などが会期中に開かれた。
E 学術講演発表は6657題。前年に比べて267題の減となった。部門別では構造が2400題と全体の約36%を占め、環境工学が1293題、材料施工659題、建築計画642題と続く。各部門が軒並み前年より減少している中で、都市計画と建築社会システムの2部門が増加しているところに、人口減少など社会情勢の変化に対応しようと果敢に挑戦する研究者の姿がうかがえる。
D UAV(無人航空機)・ドローンやBIM、制御・ロボット、またCLT(直交集成板)など最新の技術や構法に関する研究成果も複数の部門で発表された。35の研究集会も面白いテーマが目白押しだった。
E 会場が1棟の講義棟だけで行われたのは今回が初めて。移動しやすい半面、これも初の4日間という長丁場の大会となった。ただ、これだけの知見が結集しているのに市民には知られていない。社会にどう開いていくかも考えるべきではないかな。

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