【女性活躍】女性力と男性力の明確化がポイント 国交省のセミナー第1弾、仙台で | 建設通信新聞Digital

4月23日 火曜日

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【女性活躍】女性力と男性力の明確化がポイント 国交省のセミナー第1弾、仙台で

 国土交通省は16日、仙台市内の宮城県建設産業会館で「建設産業女性活躍セミナー」を開いた=写真。全国10都市で開催する同セミナーの皮切りとなる。籠田淳子ゼムケンサービス社長が基調講演し、建設業を女性の一生の仕事にするポイントとして、▽ワーク・ライフ・バランス(WLB)▽全社経営・ワークシェアリング▽女性力と男性力の明確化--の3点を挙げた。また、籠田氏をコーディネーターに、女性技術者らによるパネルディスカッションがあり、建設業における女性活躍推進の道筋を探った。

 北九州市で社員8人のうち6人が女性という建設会社を経営する籠田氏は「WLBは仕事と生活の相乗効果として、経営に独自性と高付加価値をつくる。企業は人材育成に時間とお金、愛情をかけなければならない」と強調。また、「全社員が1つのチームとなり、各自の長所を生かし、短所はみんなで補っていくべき」と、同社の全社経営とワークシェアリングの考え方を説明した。
 さらに女性力を引き出すために同社の男性社員が気を付けていることとして、「男性と女性は全く考え方が異なり、互いの足りない部分を補い合える関係であることを理解する」「男性が期待する女性力を女性に伝えること」などを挙げた。

基調講演する籠田淳子氏

 パネルディスカッションでは、「建設産業において、さらなる女性の入職および定着を促進するためには」をテーマに施工管理や左官工、建設コンサルタント、会社経営などに携わる女性6人、国交省の担当者2人が意見を交わした。
 施工管理や図面作成に携わっている東北設備女子会代表の秋山悦子さん(ワーカー)は「性別に対する無意識の偏見により、女性に与えられる仕事や役割が男性と異なり、その結果として技術力に差が生じている」と指摘した。
 さまざまな現場で左官の職長を務めている川畑貴子さん(クレア工業)も「女性は男性に比べて体力は劣るかもしれないが、技術力は引けを取らないと思う。“女性だから”という偏見をなくしていきたい」と語った。
 現場代理人として建築現場を運営している工藤春美さん(丸か建設)は「『仕事と女性はきれいな方がいい』をモットーに仕事をしている。また、赤ちゃんでも歩ける安全な現場づくりを心掛けている」と説明した。
 土木学会のダイバーシティ推進委員会に所属している瀬尾弘美さん(建設技術研究所)は、同学会が2016年度からショッピングモールで一般市民を対象に実施している“土木ふれあいフェスタ”などの取り組みを紹介しつつ「土木は身近で、大事な仕事だということをわかってもらうことが重要だ」と述べた。
 造園会社で施工管理に携わる瀧口直美さん(牧山)も「学生に建設業界のPRをしっかり行うことが大切だ。自分たちの仕事を細かくひも解き、同じ会社でもさまざまな仕事があること、女性ができる仕事もあることを発信していく必要がある」と提案した。
 宮城県建設業協会の“宮城建設女性の会2015”の会長を務める武山利子さん(武山興業)は「女性受けするPRの仕方を考えるべきだ」とした上で「生産性向上や安全確保につながるICTの活用は女性技術者のためになり、女子学生にも興味を持ってもらえるのではないか」と指摘した。

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