【記者座談会】2031年からの新幹線大規模改修、技術開発が鍵に/建コン協意見交換会スタート | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】2031年からの新幹線大規模改修、技術開発が鍵に/建コン協意見交換会スタート

建設コンサルタンツ協会の2017年度地方ブロック意見交換会が東北地区を皮切りにスタートした。9月7日の関東地区まで、全国9地区で開催される


A JR東日本が東北新幹線(東京~盛岡間)と上越新幹線(大宮~新潟間)の大規模改修工事で材料と工法の公募を8月1日から始めるそうだね。
B 東北、上越ともに1982年開業から35年目となった。東北新幹線は大宮~盛岡間の開業だったが、85年の上野駅開業から30年を超え、91年の東京駅開業からでも四半世紀を超える。老朽化も進んでいるため、2031年度から10年をかけて大規模改修を計画している。
C 工事は、鋼橋の支点部改修工、コンクリート橋の表面改修工などと、トンネルの覆工改修工と路盤改修工、土工は法面工改修が中心となる。総工費は1兆0406億円を見込み、16年度から15年間で毎年度240億円の新幹線鉄道大規模改修引当金の積み立てを始めている。
A 工事着手までずいぶん間があるけど、なぜこのタイミングで公募するの。
C JR東日本では工事計画を具体化する上で、技術開発により、さらなる施工の効率化やコストダウンを目指している。その一環として、改修工事に適用する材料と工法について広く企業のノウハウを求め、共同研究により改良・開発を行う考えだ。
B 今回公募するのはコンクリート橋の表面改修工と高欄取り替え、トンネルの覆工改修工(シート等による補強)の材料・工法。50年程度の延命化を目標レベルに、長期耐久性や風圧などに対する強度のほか、経済性、施工性、維持管理の容易さなども評価する。
C JR西日本も山陽新幹線の大規模改修を実施する。新大阪~博多の全線が対象で期間は28年から10年間、総費用は1557億円を見込んでいる。東海道新幹線は、JR東海が13年から約10年間の計画で大規模改修している。

長時間労働の解消など“お願い”ではなく“提案”

A ところで、建設コンサルタンツ協会の地方ブロック意見交換会が6日の東北地区を皮切りにスタートした。村田和夫会長になってから初の意見交換会だが、今年度の「要望と提案」は。
D 魅力ある建設コンサルタントに向けた担い手の育成・確保のための環境整備、技術力による選定、品質の確保・向上という柱は前年度と変わらない。今年度は特に、受発注者協働による生産性向上と就業環境の改善に向けて、納期の平準化と必要履行期限の確保、ワーク・ライフ・バランス(WLB)の改善に向けた議論が1つの焦点になりそうだ。
E 東北地区の意見交換会で、村田会長は「大きな課題は長時間労働の解消だ。疲弊した頭で良い成果が出るとは思えない。発注者にとっても大事なことだ」と述べ、長時間労働の解消は、成果品の質を確保する上で発注者側も配慮すべき問題であると同時に、経営リスクの回避にもつながるとして、WLBの改善に官民挙げて取り組む必要があるとの姿勢を鮮明にした。
D 19日の定例記者懇談会でも、村田会長は「意見交換会は毎年開いているが、協会内の議論については、これまでと違った内容だ。今回の具体的な提案もテーマが多岐にわたる」とした上で、「建設コンサルの役割の問題や、われわれがこれからどのように活躍していくかというところについても、議論を進めていかなければならない。そういった本質的な話もしていく必要がある」と意気込みを示していた。特に「お願い」ではなく、「より良い建設生産システムに向けて提案をしていきたい」と双方向の対話によって議論が深まることに期待を寄せていた。
A 次回は25日の中部地区。9月7日の関東地区まで今後どのような議論が交わされるか注目していきたいね。

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