【記者座談会】東京五輪・パラリンピックの開催まで1000日切る 関連施設の進捗は? | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】東京五輪・パラリンピックの開催まで1000日切る 関連施設の進捗は?

スタンドなどの全貌が見え始めてきた新国立競技場の建設現場。ユニット化の採用で日単位の進捗ぶりが見て取れる


A 2020年東京五輪・パラリンピックの開催まで1000日を切った。五輪関連施設の建設状況は、どうなっているかな。それとメイン会場になる新国立競技場建設の進捗は。
B 新国立競技場約11.3haの現場では、7月から地上躯体工事に入っている。ようやくスタンドなど全体像が見え始めた。躯体工事が進むのが、日単位で分かるほどだ。工期縮減の観点からユニット化、工場製作の促進、現場作業の効率化について施工者からの技術提案が見て取れる。
C 現地には実物大検証模型(モックアップ)などを設置して、デザイン的にも重要で象徴的な大庇(ひさし)や軒庇を始め、観客席などを実物大でつくり、図面上ではイメージしにくい部分の納まりや大きさ、色・質感、使い勝手などを検証しながら進めているのも特徴だ。
B 工事は、18年3月まで地上躯体工事を進める一方、2月からは並行して屋根工事に入る予定だ。18年には、内装仕上工事や外装仕上工事なども順次進むことになる。
A 東京都による新規恒久施設の状況はどうか。
C 都が整備する五輪施設第1号となる「武蔵野の森総合スポーツプラザ」が11月25日に開業した。21日からはメインアリーナで、日本フィギュアスケート選手権大会も開催され、「多摩の一大スポーツ拠点」への期待も高まっている。
D 他の7施設のうち6施設が着工済み。残る大井ホッケー競技場も、今月の設備工事3件の開札で施工者がすべて決まる。いずれも19年中に竣工する。これら8施設と、競技会場周辺の歩道橋などの整備費は総額1828億円となる見込みだ。
A 五輪期間中に築地市場跡地を活用する五輪輸送拠点は。
E 18年10月中旬をめどとする市場移転後に土壌汚染調査に着手し、19年3月から20年3月まで市場解体と並行して駐車場を整備する計画だ。
D 敷地15ha程度を想定した基本設計も発注しており、いよいよ準備が始まった。
A 環状2号整備はどうかな。
E 市場機能移転完了後、暫定迂回道路を約2カ月で開通し、地上部道路は既存建物解体後に着工、20年3月に開通する予定だ。
D いずれも豊洲への市場移転を前提としている。追加対策工事の施工者の選定に遅れが出れば、五輪輸送拠点と環状2号の工事に影響が出る恐れもある。
A 中央区の晴海埠頭に選手村を整備する晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業は、どうなっている。
E 着工から1年を迎え、工事は順調に進んでいる。特定建築者となる三井不動産レジデンシャルなどディベロッパーのグループが事業主体となって、五輪までに選手村約4000戸を完成させる。現在は建築物本体の鉄筋の組み立てやコンクリートの打ち込みなどを進めている。道路などの基盤整備や海岸保全などの関連工事も進捗している。
D 基礎から地下躯体工事の段階なので、現地では地上部の躯体は見えていない。東京労働局と建設事業者による現場のパトロールを取材した際、仮囲い内での現場撮影はNGだった。テロ対策の一環から現場内では躯体を撮らないでほしいということ。「テロ対策」という言葉に驚いた。五輪開催が近づくにつれ、現場でも対策が強まるだろう。
E 五輪後は選手村をマンションに改修し、2棟のタワーマンションを建設する計画だ。総戸数約6000戸で、全体完成は24年を予定している。人口が急増するため、商業施設や学校、公共施設などの整備計画もある。

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