【記者座談会】渋谷駅改良工事/楽コンランド開設 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】渋谷駅改良工事/楽コンランド開設

◆模擬施設でデモ繰り返し計画練り上げ

A 6日夜から9日朝にかけて、JR東日本が東京の渋谷駅改良工事を実施したね。

B 全5回のうちの今回は4回目。いよいよ大詰めを迎えた。今回の工事では6日午後10時から9日初電までの約53時間30分に延べ4000人を投じ、これまで分かれていた山手線内・外回りホームを一体化した。9日に新たなホームの運用が始まった。

C 工事に伴い、7日土曜と8日日曜の山手線外回り列車の大崎~渋谷~池袋間が運休したほか、池袋~東京~大崎間は大幅に列車の本数を減らして運転した。内回り列車も池袋~渋谷~大崎間で本数を減らした。長時間の列車の運休による社会的影響が大きいプロジェクトのため、模擬施設でのデモンストレーションで何度も確認し、計画を練り上げたそうだ。

B 今回の工事では、従来の山手線外回りホーム(236m)を撤去し、線路の工事桁を最大約2.7m横移動した。その後、山手線内回りホームを最大約3.2m拡幅し、仮上家を設置した。これだけでなく、大山街道も通行止めにして宮益架道橋の桁を移設した。線路の移設ではバールを使って、かけ声を掛け合いながら人力で移動していた。これで82年間使われてきた外回りホームがなくなり、1面2線式ホームに生まれ変わった。

C 工事は、3工区に分け、北工区を鹿島・清水建設JV、中央工区を大成建設・東急建設JV、南工区を鉄建建設・東急建設・東鉄工業JVが担当している。2015年に起工し、これまで埼京線ホームの移設、山手線内回りホームの拡幅と改良を続けてきた。23年度も第5回の工事を予定しており、山手線内・外回りの線路とホームの高さを上げる。全体完成は27年度になる。

渋谷駅改良工事(渋谷駅のホーム撤去作業を進める作業員。82年間運用されたホームが廃止された)

i-Con遊園地でICT施工普及に期待

A ところで、茨城県行方市にi-Constructionの遊園地をコンセプトにした施設が誕生したみたいだね。

D 地域建設企業の支援などを続けている測量関連メーカーで構成する有志連合、CONTACT(建設戦略会議)が『楽コンランド』を設置した。13日に公開され、国土交通省や自治体の職員などが視察に訪れるなど、にぎわいを見せていた。

A どういった場所かな。

D CONTACTの事務局などを務めるトプコンの関東トレーニングセンタ内に設置された。中小規模現場へのICT施工のさらなる普及などを目的に『小規模施工』など五つのゾーンが用意されている。遊園地のように参加者が自由に体験できるなど工夫を凝らしている。

A 今後の展開は。

D CONTACTが支援する自治体の工事受注者などに体験してもらう。トプコンのその他のトレーニングセンタにも開設する計画もある。CONTACTが協力する形で楽コンランドの自治体主催版も予定されている。

E 民間企業が連携してこういった施設をつくるのは珍しい取り組みだ。直轄工事に比べて自治体発注工事でのICT施工の導入が進まないと聞いているが。

B 都道府県では積極的な取り組みを進める機関が目立つが、市区町村になると政令市も含めて極端にICT施工の実施件数が減る。特に小規模な都市土木への適用が難しいようだ。

E 普及に向けた課題は多くありそうだ。そうなると小規模施工などをリアルに体験できる楽コンランドは注目できるかもしれないね。担い手不足の課題に対してICT施工は解決策の一つになり得る。さらなる盛り上がりに期待したい。

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