【第一建設工業】"D-flip工法"で工期短縮 米代川橋りょう橋脚耐震補強工事現場を公開 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【第一建設工業】”D-flip工法”で工期短縮 米代川橋りょう橋脚耐震補強工事現場を公開

 第一建設工業は、同社が開発した任意深度定着型仮締切工法「D-flip(ディーフリップ)工法」を採用し、秋田県能代市内で施工しているJR東日本秋田支社発注のJR奥羽本線米代川橋りょう橋脚耐震補強工事の現場を公開した。

耐震補強工事が進められている米代川橋りょう


 同工法は、水中にある橋脚を補修・補強するための仮締切工法。施工手順は、ブラケットまたは吊り足場の上でライナープレートを組み立てた後、橋脚に吊り降ろし設備を設置。足場を一部撤去後、ライナープレートを所定の位置まで沈設させる。その後、下部に設置されたブラケットをアンカーで固定。型枠を設置して止水コンクリートを打設後、水中ポンプで排水することでドライな空間を構築できる。

 最大の特徴は、必要最小限の範囲で締め切ることが可能なため、仮締切設備の小規模化と施工の省力化ができることだ。

 また、矢板や仮桟橋支持杭などを使用せず地盤への貫入が不要なため、河床条件に左右されず工期的にも有利となる。さらに、部材は小さく分割できるため人力での部材搬入と作業が可能など、多くのメリットがある。

 工法の適用範囲は、水深8.0mより浅い場所。ライナープレート接合部は、水膨張性シールの間にパッキンを組み込んだ3層の止水構造とし、ジョイント部からの漏水を防いでいる。

 同工法による施工は、今回が4例目。2020年2月には新潟県の『Made in 新潟 新技術普及・活用制度』に登録された。

 今回の工事では、対象となる耐震補強個所周辺が硬質地盤で、支持杭や鋼矢板打設などの打ち込み作業が困難だったことから、地盤への打ち込み作業がない吊り足場として、3例目となる日綜産業の「クイックデッキ」を併用したディーフリップ工法による施工が決まった。

 施工に当たってはクイックデッキの“強み”がいかんなく発揮された。最大積載荷重が1㎡当たり350㌔という高い強度を生かしてライナープレートを組み立てる架台として使用。そのフラットな足場は上からの荷下ろしができない鉄道橋でスピーディーな資機材運搬にも寄与した。

 さらに、同システムの特徴の1つでもある旋回組み立て方式を逆の手順で運用し、吊った状態のまま畳んでライナープレートを落とし込むことで足場を撤去する必要もなく、安全・迅速な降下を可能とした。

 ディーフリップ工法との“相性の良さ”を発揮し、安全性や作業効率の向上、工期短縮、環境負荷の低減など、さまざまな面で相乗効果を生み出している。

 実際に現場に向かうと、2基の橋脚には川面に接する位置にライナープレートが設置されていた。クイックデッキで構築されたフラットな足場をたどって橋脚部分に行き、ライナープレート内をのぞくと、内部は漏水のないドライな空間を維持しており、3層の止水構造が十分機能していることが確認できた。

 多様なメリットを生み出している2つの技術のコラボレーション。今回の工事でその相乗効果が確認されたことで、今後のさらなる展開が期待できそうだ。

漏水がなくドライな仮締切空間内

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