【現場の逸品】磁界で重機の接近を警告! 人の立入りや架線接触・転倒事故防止に | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【現場の逸品】磁界で重機の接近を警告! 人の立入りや架線接触・転倒事故防止に

重機に近づくと、運転台のパトランプとヘルメットのランプで警告する

 建設需要の盛り上がりに伴い、建設現場では事故の防止対策徹底が求められる中で、特に重大事故につながりかねない重機周辺の対策に各現場担当者が頭を悩ませている。ティオック(長野市)の「HERIMA SYSTEM」(ヘリマシステム)は、重機周辺への立ち入り警告を確実に実施できるだけでなく、クレーンの架線接触や重機の転落・転倒事故の防止にも対応できる拡張性の高い製品として話題を呼びそうだ。
 ヘリマシステムは、磁界を発生させるトリガー送信ボックスと制御ユニット、アンテナを重機に取り付け、作業員がICタグ・警告ランプ付きの装置をヘルメットに装着、重機の運転台に警報ランプを設置する。作業員が磁界の中に入ると、ヘルメット側面と内側に配置したLEDランプが緑から赤に変わり警告するほか、運転台の警報ランプも点灯する。
 マラソン大会でのタイム計測などで採用されるICタグを使用しているため、確実に磁界への侵入者を捕捉でき、設定範囲は最大6-9mの小型から同9-14mまでの大型まで3段階に変更可能だ。NETIS(新技術情報提供システム)にも登録(登録番号KT-170001-A)済みだ。

システムの基本セット

 販売代理店のコーエィ(前橋市)が群馬県高崎市内の現場で開いたデモンストレーションには、国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所長の堤啓所長と松本泰夫高崎市副市長が見学に訪れた。コーエィの宮下隆弘PIII戦略室長は「振動や音ではなく、ヘルメットの庇内側に付いたランプで確実に警告できる。また、重機と作業員の間に障害物があると反応しないことがある赤外線の警報システムと違い、障害物の有無にかかわらず磁界への侵入を把握できる」と説明する。
 さらに、最大の特徴は「拡張性の高さ」(宮下室長)とも語る。ICタグを架線に設置して磁界発生装置をクレーンにブーム付けすれば、ブームが架線に近付くと運転台の警告ランプが付くよう設定もできるほか、開口部に磁界発生装置を付けて重機の侵入防止にも使用可能だ。捕捉精度と反応速度の信頼性の高さから、重機の移動が多い地下作業での活用も効果的だ。「ICタグの個数制限がなく、作業員の現場への入退場管理などにも使える」(同)という。
 デモを見学した堤所長は「i-Constructionを推進しているが、地域の建設会社にとって高度なICT技術の導入はハードルが高い。こうした簡易なシステムで安全を確保する取り組みであれば、地域建設会社もICT技術を導入しやすい」と語った。

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