【信号なしでも飛行可能】第一土木とアースアナライザー開発の自動航行ドローンに集まる期待 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【信号なしでも飛行可能】第一土木とアースアナライザー開発の自動航行ドローンに集まる期待

 第一土木と協力会社のアースアナライザー(京都府綾部市)は、BIM/CIMの本格普及に向けたドローンによる3次元データ作成に力を入れている。アースアナライザーはGNSS(全球測位衛星システム)信号を基に自動飛行するドローンも現場で運用しており、さらに7月にはGNSS信号が届かないトンネルや橋梁下での飛行も可能なドローンも開発した。9月29日には近畿地方整備局福知山河川国道事務所が開いたi-Construction現場見学会でデモ飛行を実施し性能を参加者にアピールした。今後も現場での試験飛行を重ねる予定で、同社の荒木寿徳社長は「今回の成果を生かし、今後も別の現場で発展させていきたい」と力を込める。

アナライザー01のデモ飛行


 手動操作での飛行は技術者の熟練度により安全性が左右される。経験が浅い操縦者の場合、ヒューマンエラーによる事故の危険性が高まる。人手不足の影響でそもそも操縦者の確保が難しいことも課題となっている。現在、使われているドローンの品質面の問題もある。自動飛行するドローンもGNSS信号を利用するが、受信可能な信号の数が少なく位置情報精度が低い。

 そこで、アースアナライザーは自動航行ドローンを着想し、2019年8月に高精度自動離着陸・航行ドローン「アナライザー01」を開発した。多くの衛星信号を収集するための測定機器SOIシステムを搭載することで、高精度な自動航行が可能だ。通常のドローンが受信できる信号が数件なのに対し、アナライザー01は40件以上の信号を受信できる。さらに、SOIシステムが状況によって必要な信号を選別できるため安全な自動航行を実現した。

 さらに、これまでのドローンはGNSS信号が届かない橋梁下やトンネル内の自動航行が困難だったが、この課題を解決するため、「アナライザー02」を開発した。トンネル内などにセンサーを配置することで、センサーからの信号をGNSS信号の形式で受信し、飛行できる。

 こうした性能を紹介するため、9月29日に近畿地方整備局福知山河川国道事務所が開いたi-Construction現場見学会ではアナライザー01と02のデモ飛行が実施された。同事務所が京都府福知山市で進めている大谷川樋門築造工事(施工・第一土木)の現場で国や自治体、建設企業職員らを対象にドローンや3次元設計データ作成の過程を紹介した。

大谷川樋門の3次元データ


 現場では由良川の治水対策として、中流域で由良川本川と支川・大谷川の合流点調整を行う樋門を新設している。この日はアナライザー01が堤防の上空を一定の距離を保って飛行し、02が樋門のボックスカルバート内部までを飛行する模様を公開した。

 第一土木とアースアナライザーは、今回活用したアナライザー01で点群データを取得し、出来形管理用の3次元データ作成に生かす。02はトンネル内や橋梁下を飛行できる特性がインフラメンテナンスに生かせると考えており、他の現場での試験飛行も予定している。

 2社は同現場で2次元設計図面の3次元化にも取り組んでいる。今回の工事では、3次元化のために「AUTOCAD」「Revit」「3DxMAX」「Trend Core」の4種類のソフトを使っており、今後の実用化を検討している。

アナライザー02

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