【記者座談会】五輪交通混雑緩和策を試行/建コン協意見交換会スタート | 建設通信新聞Digital

5月13日 月曜日

公式ブログ

【記者座談会】五輪交通混雑緩和策を試行/建コン協意見交換会スタート

A 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が1年後に迫る中、東京都と国土交通省が建設現場の交通混雑緩和策の試行に乗り出すけど、具体的な内容は。
B 東京都は、大会開催を契機に新たな働き方や企業活動のモデル確立を目指す「スムーズビズ」の一環として、大会期間に相当する集中取組期間(土日を除く7月22日-8月2日、同19-30日)に、発注済みの現場約1360カ所で試行する。午前7時から午後7時までの工事車両の入場調整や、高速道路の利用を避けた輸送ルート構築などで協力を求める。
C 一方の国交省関東地方整備局は、実施件数を対外的に明示した上で、試行条件に合致する90件の工事すべてで、一時休止や夜間施工への切り替え、車両通行ルートの変更などの工事調整を実施する。都も整備局も、今回はあくまで「現場サイドへのお願いベース」で、受注者には工期などに影響が出ない範囲での協力を呼び掛けている。
A 試行に対する業界の反応は。
D 元請け、専門工事業だけにとどまらず、資機材・製品納入など幅広い業種に影響を与えるだけに、建設産業界は強い関心を示している。ただ、現時点では発注者ごとの取り組みであり、地方自治体を含めた連携体制の構築には至っていない。さらに、圧倒的な数の民間工事の扱いをどうするのか。業界は、見えてこない来夏の工事への影響に不安を抱き、早期の情報提供を訴えている。五輪開催エリア全体の官民含めた工事のかじ取り役をどの機関が担うのかという課題も残る。休工や夜間施工への変更による費用負担など、課題は山積している。大会開催による工事への影響を最小限にとどめるため、官民、受発注者が一体となった体制を早急に構築する必要がある。

7月16日に名古屋市内で開かれた建設コンサルタンツ協会と国土交通省中部地方整備局などによる意見交換会では、予定時間を超過して、より良い働き方や生産性、品質のさらなる向上を目指した活発な議論が繰り広げられた。写真は高野登会長(中央)ら建コン協幹部

発注者責務の認識深まる契機になれば

A ところで建設コンサルタンツ協会の2019年度地方ブロック意見交換会がスタートしたね。
E 昨年に続いて中部地区が皮切りとなったが、中身の濃い意見交換の場となった。対外活動委員長も務める野崎秀則副会長は「2年続けて力をいただいた」と手応えを口にしていたよ。
A というのは。
E 中部地方整備局は履行期限の平準化に向けた繰越制度の活用やウィークリー・スタンスの徹底など、他の整備局に率先した取り組みも多い。その上で昨年は当時の塚原浩一局長が働き方改革を迫られるのは発注者も同様であるとして「危機感の共有」が必要だと提起し、これがその後の各地区での議論に通底する強いメッセージとなった。
F 今回は4月に改正労働基準法が施行されたことに加え、6月には改正品確法(公共工事品質確保促進法)が公布・施行され、調査・設計などの業務が品確法の対象として明確に位置付けられたことを踏まえての意見交換となるだけに、担い手の確保につながる就業環境の改善や技術力による選定のさらなる促進は、発注者の責務であるという認識が地方自治体にも深まる契機となるのではないか。
E 国土強靱化予算による仕事量の増大に加え、各地で頻発・激甚化する災害への迅速な対応が求められる中で、改正労働基準法順守とどう両立させるかも課題だ。勢田昌功局長は災害対応業務であっても効率化を受発注者双方が考えるべきだと提起し、それが「パートナーとしての試金石になる」と指摘した。こうした議論が今後各地区でどう深まっていくのか、注目したい。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら