【BIM2025(27)】三谷産業 BIMを支えるエンジニアリング集団 | 建設通信新聞Digital

7月19日 土曜日

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【BIM2025(27)】三谷産業 BIMを支えるエンジニアリング集団

ACSDのBIMエンジニアたち

三谷産業空調首都圏事業部は、空調設備工事の合理化を図るMITANI BIMを加速している。200人を超える“BIMエンジニア集団”を擁するベトナムの子会社「ACSD」と連携し、グループの総合力を結集して空調設備工事における最先端のBIM活用を目指す。

首都圏空調事業部は、1998年に3次元CADを全面導入して以来、3次元設計が定着している。特に力を入れている改修工事では、3Dスキャナーで計測した現況モデルとBIMを組み合わせ、施工の合理化を進めてきた。例えば搬出入シミュレーション動画を活用した施工計画の視覚化や、配管・ダクトなどの静圧計算を自動化しルートやサイズを最適化する機能を積極的に活用している。

近年は3次元モデルに気流シミュレーションを組み合わせ、外気温の変化や空調機器の設置場所に応じた室内の温熱分布を色分けし、最適なレイアウトや機器選定を可能にした。4月から新たに執行役員となった勝島洋一空調首都圏事業部事業部長は「空調費を削減し、ランニングコストを低減することで顧客に貢献できる」と効果を説明する。ゆくゆくは維持管理までBIMを活用し、「保守メンテナンスを担うことで改修工事を継続的に受注できるようにしたい」と営業面の効果も語る。

空調設備工事は同社のグループ全体の業績をけん引しており、それを支えるBIMの基盤をACSDが担う。建築、設備、木造、住設のデータを作成する200人超のBIMエンジニアのうち約50人はBIMマネージャーのスキルを備え、日本を代表する大規模再開発や国際的なイベント施設、歴史的文化遺産の修復など数多くのプロジェクトを手掛けてきた。

24年にACSDは「BIMエンジニアリングセンター」を立ち上げ、BIMに関する包括的な業務の受託や技術提案、マネジメントなどを手掛ける。東急建設とBIMの高度化に向けた基本協定も締結した。ACSDの数野博義社長は「三谷産業空調設備部門や協定締結企業と人材交流を重ね、技術者同士が切磋琢磨している。国内外のさまざまな顧客を支援した経験を生かし、日本のBIMの発展に貢献したい」と見据える。勝島事業部長は「三谷産業といえば“BIM”と言われるよう社を挙げて全力で取り組む」と意気込む。



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