【BIM2022 三谷産業】モデル事業で所要時間を6割削減 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【BIM2022 三谷産業】モデル事業で所要時間を6割削減

 三谷産業空調首都圏事業部は、BIMをベースに3次元データを有効活用し、施工の効率化を推進している。2020年に国土交通省より建築BIM推進会議との連携事業に認定されたBIM活用および有効性検証プロジェクトでは、空調設備の更新工事で点群データと組み合わせた詳細な施工シミュレーションを活用し、想定した所要時間の6割削減を実現するなど大きな成果を出している。
 同部は16年にBIM推進室を発足し、意匠、構造、設備のフルBIMや3次元スキャナーを導入開始するなど知識や経験を蓄積してきた。19年にはBIM室に昇格させ、3D-VRカメラなどさまざまなICTツールを組み合わせ、BIMデータの高度利用を加速している。田畑憲一BIM室長は「建築分野も含め、さまざまなお客さまの仕事を通じ、経験値を高めてきた」と説明する。
 また、CADの作図などを効率的に行うため、ベトナムに設立したグループ会社のACSD社には、豊富な経験を持つ約80人のBIM技術者が在籍する。BIM室と連携してさまざまなオーダーに対応するとともに、時差を利用したスピーディーなデータ提供を可能にしている。
 国交省の連携事業では、六本木ヒルズノースタワーの更新工事を対象に、4D管理の有効性を検証。運用中の建物で室外機と室内機の搬入方法を事前に検討するため、3Dスキャナーで作成した現況モデルの中で空調機器の3次元モデルを動かし、搬入ルートのシミュレーション動画を作成した。
 制約の多い更新工事で安全かつ効率的に機器を搬入するため、ミリ単位でクリアランスを制御しながら最適なルートを設定した結果、当初想定した78時間の所要時間に対し、62%となる48時間もの削減を実現した。

モデル事業ではミリ単位のクリアランスを制御した

 動画制作を担当したBIM室の田保祥子さんは「点群処理ソフト『Infipoints』を活用し、点群上で機器モデルを動かすことができる。搬入出シミュレーションは16年から取り組み、年々需要が増えている」という。
 こうした知識や経験を広めるため、20年からゼネコン、サブコン、設計事務所などの外部企業にもBIMのコンサルティングを提供している。田畑室長は「BIMデータを有効活用するため、周辺のICTツールを積極的に使いこなし、お客さまにさまざまなソリューションを提供していきたい」と展望する。



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