【森ビル、六本木ヒルズが開業20周年】再開発組合から自治会へ | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【森ビル、六本木ヒルズが開業20周年】再開発組合から自治会へ

現在の六本木ヒルズ外観


 きょう25日で、六本木ヒルズが開業から20周年を迎えた。森ビルの手掛けるエリアマネジメントにより、さまざまなギャラリーや文化施設が集積し、「六本木=アートの街」という印象を根付かせた。経済的な視点に偏りがちだった当時の都市開発にメスを入れ、文化やコミュニティーによる「真の豊かさ」を求めたまちづくりは、現在も着実に受け継がれている。

 1986年11月、六本木六丁目地区は「再開発誘導地区」として東京都から指定を受けた。森ビルとテレビ朝日は権利者への呼び掛けを開始する。地区内の約500件の権利者を一件ずつ個別に訪問し、月に1、2回程度、五つの地区ごとに会合を開いた。最終的には、約400件の権利者が街づくり懇談会に参加し、90年に再開発準備組合が立ち上がり、98年に本組合が設立した。2000年に着工し、再開発誘導地区の指定から03年の竣工まで17年の期間を費やした。

地元権利者との対話の様子


 事業完了後の再開発組合は、「六本木ヒルズ自治会」に名前を変え、新たな住人や店舗、企業なども加わり、まちのコミュニティーの核として機能している。現在は約1050件が所属し、「都市を創り、都市を育む」森ビルの都市づくりに不可欠な存在となっている。

 具体的には、新年会や春まつり、盆踊りや朝の太極拳などのイベントのほか、六本木ヒルズでの震災訓練、コロナ禍の医療用ガウン製作・寄付など地域貢献活動などを実施している。大人数が参加する象徴的なイベントとして、地域清掃活動の「六本木クリーンアップ」、約45mあるビルの屋上庭園での田植えや稲刈りなどもあり、近隣居住者やオフィスで働く人たちの交流の場となっている。

 このようなコミュニティーは誰もが安心安全に暮らせる共助のまちを育んでいる。

 「文化都心」六本木ヒルズのシンボルである森美術館は、20年間で約60回の展覧会を開き、累計1850万人が来館した。日常生活で気軽にアートに触れる機会があれば、アイデアやビジョンが生まれると考え、敷地内に複数のパブリックアートやストリートファーニチャーを設けている。周辺にある国立新美術館やサントリー美術館などは、六本木ヒルズ竣工後にできた建物で、森ビルの仕掛けが起爆剤となり、ヒルズを越えて六本木エリア全体に変化をもたらした。

 ことし秋には、虎ノ門ヒルズステーションタワーが開業し、その後、麻布台ヒルズが誕生する。森ビルにとって大きな節目の年となるが、磁力ある都市に向けた仕掛けづくりは今後も終わらない。

 

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