【学生グランプリ2017】最優秀は「しなやか庵」! "雅"の表現問われる「銀茶会の茶席」がテーマ | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【学生グランプリ2017】最優秀は「しなやか庵」! “雅”の表現問われる「銀茶会の茶席」がテーマ

「しなやか庵」1分の1模型

 日本建築学会は1日、東京都港区の建築会館イベント広場で学生グランプリ2017「銀茶会の茶席」の第2次審査と表彰式を開いた。今回から初めて設定したテーマは「雅」とし、華やかの中にも気品ある銀座らしさの表現を求めた。全国から28点の応募があり、1次審査で入選した3チームが前日から2日がかりで1分の1模型を制作して最終審査に臨んだ。
 審査では「雅」をどう解釈して表現したかが問われた。また1次審査での10分の1模型から実物大にスケールアップする過程で構造的な問題や細部の納まりなど、各チームともそれまで見えていなかった課題にも直面。審査員からは当初のコンセプトや1次審査時点での空間の質が変容したり、イメージしていたこと、やりたかったことが思うように表現し切れていないことを指摘する声もあった。
 審査員長の丹下憲孝氏(丹下都市建築設計代表取締役会長)は「10分の1ではきれいにできても1分の1をやってみて“あれっ”となる。地域性も含め自分が表現したかった雅とほかの人が考えるものも違う。解答は一つではない。1分の1をつくったらこうなってしまった、自分がいいと考えることはそれほど良くなかった、そういうことを感じてもらうことがこのコンペの目的の一つ。今回皆さんはとてもいい経験をしてくれたと思う」とエールを送った。
 最終的には東大大学院新領域創成科学研究科修士2年の澁谷達典さんを代表者とする、張耕嘉さん(同修士1年)、朝原真知子さん(同)、河村京介さん(同)、小島慎平さん(同)のチームによる「しなやか庵-2畳の茶室・12の形-」が最優秀賞を射止めた。

最優秀賞の澁谷さん(左)と張さん(右)、中央は丹下審査員長

 澁谷さんは「可変する曲面形状の実現が最初の視点だった。10分の1を1分の1にスケールアップするときに見えてくる問題を解決するのに時間がかかった。事前に組み立てて修正するというプロセスを繰り返してたどり着いただけに得るものは多い。指摘されたことを反映させて、茶の場として成り立つものを目指していきたい」と話している。
 同作品は学生創作茶席として実施制作し、26日から29日まで銀座三越で展示されるほか、28、29の両日には銀茶会の実際のお茶席として使用される。
 優秀賞の作品とチームは次のとおり(敬称略)。
 ▽「紡ぎ出す空間」=佐久間信之(信州大工学部建築学科4年)、千田卓弥(同)、安田哲郎(同)、渡邊みのり(同大学院総合理工学研究科工学専攻、建築学分野2年)
 ▽「風待庵」=古川亮(東京電機大大学院未来科学研究科建築学専攻1年)、笠原真紀(同)、柳沼啓斗(同)

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