福島県双葉町は、アーキシップスタジオ・鈴木弘人設計事務所JVに委託した町立新校の基本設計と整備スケジュールを公表した。認定こども園や小中一貫の義務教育学校などの複合教育施設として「世界にひとつの双葉の学校」の具現化を目指す。規模はS造2階建て延べ8950㎡を想定する。2026年9月までに実施設計をまとめる。同年6月に施工者選定準備を始め、9月に入札する。同年10月に着工し、28年1月の完成を予定している。
原発事故に伴う避難指示が22年に解除されて以降、帰還した児童・生徒は仮設校舎・園舎を利用している。その受け皿となる小中一貫の義務教育学校を新山字東舘1の旧双葉中学校跡地約5haに新設するとともに、幼保連携型認定子ども園や放課後児童クラブ、地域交流スペースなどの機能も一体的に整備する。
基本設計によると、コンセプトは「丘に集う 共に学ぶ~多様な領域がつくる学びの森」に設定。敷地北東側の正門前に町へと開かれた広場を設けるほか、敷地南側に寄せる建物の広場向きの面には地域交流機能と特別教室を一体化した地域共創エリアを配置し、町の創造的復興に向けた多様な活動展開を後押しする。
建物内部は、中央に設ける「みんなの中庭」を中心に、地域共創エリアをはじめ、アリーナや義務教育学校、こども園などの各領域がひとつながりに連続し、回遊するサークル状の平面計画とする。各エリアは共通して卍字型にずらして配置した壁柱と可動間仕切り、家具を組み合わせることで、それぞれ独立した部屋ではなく緩やかにつながる領域として構成する。さらに壁や間仕切りは、収納や掲示機能を併せ持つことで、従来型の教室にとらわれないカスタマイズ性を確保する。室内は、床や壁、天井、家具まで積極的に木質化する。
外周部の外装は、押出成形セメント板や鋼板の外壁にアルミサッシ、中庭側は木質パネルの外壁に木製建具をベースとした素材感を感じられる仕上げにより色彩をまとめる。
機能別の規模は、認定子ども園が884平方、義務教育学校は2240㎡、学校地域共創エリアは2317㎡、教職員分は444㎡、給食室は261㎡、放課後児童クラブは127㎡、運動施設は1815㎡。このほか、3棟総延べ538㎡の付帯施設を備える。
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