【梓JVの提案内容】「回廊こみせ」「かくじスクエア」を評価 青森県黒石市 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【梓JVの提案内容】「回廊こみせ」「かくじスクエア」を評価 青森県黒石市

まちなかリノベプランの最優秀


 青森県黒石市は、まちなかエリアリノベーションプラン策定等業務の公募型プロポーザルで、最優秀提案者に特定した梓設計・都市環境研究所・蟻塚学建築設計事務所JVの提案内容を公表した。テーマは庁舎再編を契機としたエリアリノベーションと公民協働による“まち育て”に設定。地域の歴史と伝統を継承・再生しつつ、周辺の建物との連続性を確保する“回廊こみせ”と、市民の交流の場となる“かくじスクエア”などの整備を提案した。

 委託する業務では、中心市街地にある旧大黒デパート跡地に、子育て支援や市民交流、市役所の窓口業務、福祉などの機能を集約する市民サービス施設を設計する。近接地にある産業会館の改修と本庁舎の建て替えに向けた整備方針、これら3施設を含むエリア一帯の敷地約1.4haの再編も検討する。

 梓設計JVは、▽開かれた庁舎整備を起点としたにぎわい創出▽かくじ(雪捨て場などの公共・共有空間)を活用したまちなかコアによる市街地活性化▽多世代のライフスタイルを支えるまちなか再生▽実績と経験を基に各社の強みや専門性を生かしたチーム編成▽コストと工程を徹底的に管理し、BIMの活用による設計品質の確保–の5項目を業務実施方針に掲げた。

 エリア内で市民サービス施設と産業会館、本庁舎の3施設に行政機能が分散することから、施設間のスペースを「かくじ」に見立てて災害時には炊き出しスペースに活用できる市民活動の受け皿となる広場“かくじスクエア”を設ける。建物のスクエアに面する側は全開放可能な建具を採用するとともに、観覧席として利用できるバルコニーを設置する。

 さらに、各施設を屋根付きの“回廊こみせ”でつなぐことで連携性・回遊性を高める。イベント時には屋台や展示スペース、災害時には仮設テントとしての転用など、多用途なつくりとする予定だ。

 設計する市民サービス施設の規模は延べ3500-4000㎡を想定する。外観は岩木山のシルエットをモチーフとした勾配屋根や、黒石地域の伝統建築要素の縦格子などのデザインを採り入れる。内部は1階中央に“かくじスクエア”と一体利用可能な2層吹き抜けの交流ラウンジ“あずまし広場”を配置。これを囲むように庁舎窓口機能や子どもの遊び場を備える。

 これらの設計・整備の検討に当たっては、段階的に協議・決定事項を定め、適時工程を発注者と共有することで検証しつつ手戻りを抑制する。その過程で模型やBIMモデルなどによる可視化にも努める。また、財政負担軽減の観点から、従来方式とPPPなどの事業手法を比較検討する。

 履行期限は2022年10月14日。市民サービス施設は22年度中に着工し、23年度の完成を目指す。その後、27年度までに新庁舎の改築と産業会館改修の両事業を完了させる。


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