佐川急便の物流ノウハウとDX技術を掛け合わせ、建設資材の在庫管理、配送、建設現場への搬入・間配りを一括代行する同社の「建設サポート」が注目されている。現場の近くに設置する門前倉庫(中間倉庫)と資材管理システムを活用したJIT(ジャストインタイム)納品を実現するとともに、現場に常駐するスタッフが搬入・間配りを担う荷役サポートサービスを提供する。現場内外のサプライチェーンを最適化する同社の「ロジスティクス」を構築することで業務効率化と工期短縮を実現し、生産性向上に貢献する。
建設業は、働き方改革や人手不足に対応するため施工管理のDXを推進している。一方で、資材管理における各サプライヤーへの発注、入出荷検品、在庫管理などは依然として多くのアナログ作業が残されているのが実情だ。特に資材の大半はメーカー直送で個別に納品するため、運搬効率が低い上、車両の集中、待機が常態化し、周辺道路の交通渋滞やCO2排出量の増加なども課題となっている。
同社は、メーカーが個別に発送する資材を現場近くの門前倉庫に集約し、共同配送する仕組みを構築した。現場の設置場所や出荷予定日に合わせて資材を仕分けし、適切なタイミングで搬入する。門前倉庫は、いわば現場への「モノの調整弁」として機能し、資材をユニット化した上で納品できる。現場内の仮置きや仕分け作業を削減し、労務負担軽減と施工効率化を支援する。
資材に貼付される識別ラベルは業界統一の規格やルールがなく、「モノの目利き」ができるプロでないと取り回しできないことが、建設業界にロジスティクス外注が進まない大きな要因であることに着目。画像認識AIを活用し、プロでなくともラベルを識別し、資材の取り回しを可能とする「資材管理システム」を開発した。
さまざまなフォーマットのラベルを撮影するとエッジAIがデータ化し、設置場所や出荷場所、出荷予定日などをひも付けた統一ラベルを発行し一元管理する。倉庫管理者だけでなく現場管理者も同一のシステムで各資材の発注状況、入荷検品、仕分け、出荷検品、配送、納品などの状況を確認し、施工の進捗に合わせて資材の動きを調整しやすくなる。ほかにも例えば台風などで工事が中断して工程が変わる時、同社の物流システムを活用して資材を一時的に門前倉庫に移すなど柔軟な対応が可能になる。
特に強みを発揮するサービスが、現場搬入後の荷役サポートだ。同社の専属スタッフが現場に常駐し、施工の進捗に併せ、揚重事業者や施工者と常時・緊密に連携・調整しながらエレベーターの搬入・運搬、各フロアに資材を配置する間配りを効率的に実施する。同社が承けた輸送品以外についても常駐スタッフが一括して調整し、効率的に間配りするのが大きな特徴だ。
また、メーカー側のトラックが不足する場合は、同社の全国ネットワークを活用したチャーター輸送も提供し、現場内外のロジスティクスを一括してサポートする。営業開発部市場開発課の高月洋明課長は「門前倉庫を調整弁にして柔軟な搬出入を実現するとともに間配りを一括して担うことで現場内外のロジスティクスを最適化する。高層ビルを建設する複数の再開発事業でゼネコンと連携して実証実験を繰り返し、成果を出してきた」と手応えを語る。
特に建築工事の進捗に応じて工程変更が起きやすい設備サブコンは、資材の納品調整が重要で、引き合いが増えている。新菱冷熱工業などが導入し、資材管理を効率化している。直送体制を取る建材メーカーも建設サポートへの関心を高めている。「ドライバー不足で配送に課題を持つメーカーが増え、全国配送する当社のネットワークへの期待が高まっている」と感じている。
ゼネコン、サブコン、メーカー、商社が構築する従来の物流網は、もののやりとりが主体であり、物流全体の合理化や最適化を目指す「ロジスティクス」の概念を導入することで、大きなインパクトを与えることができると考える。高月課長は「当社はこれまで建設業界に深く入り込めていなかったからこそ第三者としてフラットな視点でロジスティクスならではのアプローチができる。地域と社会の未来をつくる建設業を私たちは“物流の力”で支えていきたい」と意気込む。


