大塚商会は、建築確認申請のBIM図面審査に対応する講習会「Revit 図面化」コースと「GLOOBE Architect 基礎」コースの二つの講座を5月から開始した。建設業界共通の属性情報の入力やBIMモデルからの図面出力方法を学ぶほか、各社が自前の図面などを生かして対応できるよう支援する。個別の運用支援についてもアドバイザリーサービスで対応し、BIM図面審査のメリットを引き出した設計環境を顧客と共に構築する。
同社は、2015年に初めて設計事務所、指定確認審査機関、ソフトハウスと共に木造建築においてBIMを活用した確認申請に伴う技術支援を実施した。「統一したテンプレートに基づいて作成した3次元モデルを電子申請し、審査機関側がBIMファイル上のシート(図面)をPDFに変換し審査する」というBIM図面審査に近い形でのBIMデータを活用した確認申請である。
BIMモデルから図面を切り出すことで整合のとれた図面を活用できるほか、手書きした部分は色を変えて表示するなど4者間でノウハウを編み出してきた。以後同社では、BIMを活用した確認申請を支援し知見を積んできた。飯田千恵PLMソリューショングループBIM・CIMソリューション課上級課長は「確認審査のBIM活用に手間をかけすぎないこと、審査側はBIMに対応したスペックのパソコンを使うこと」など現在と同じような多くの課題に対応しながら設計者、審査者のメリットを引き出してきた。
これらの先駆的な知見やノウハウを活用し、BIM図面審査の一般向けの講座を5月に開始した。「Revit 図面化」コースでは、Revitの意匠、構造、設備など一通りの基本操作のラインアップを受講した人に対し、確認審査の実務を向上させる図面化コースを提供する。「基礎、運用、高度利用の3段階のステップの講習のうち、運用のところでBIM図面審査を学んでもらう」と説明する。
また、従来のRevitコースに加え、5月から新たに「GLOOBE Architect 基礎」コースを開始した。基本機能を中心にGLOOBE Architectが“国産BIM”として保有しているBIM図面審査対応機能の操作方法を習得する予定で、講座の内容は今後さらに拡張する方針だ。
各社のBIM運用を個別にコンサルティングするアドバイザリーサービスでは、RevitやGLOOBE Architect、Archicadなど、マルチフィールドでさまざまBIMソフトを活用して顧客に寄り添った支援を展開している。同課の内田竜哉課長は「支援をする中で、CDE活用に対する要望が増えている。設計者のみならず関係者全員によるBIMモデル利活用についての要望が広がっている」と傾向を分析する。
BIM図面審査に対応するメリットとして飯田上級課長は「業界共通基準をつくることでその後の検査や維持管理のデータ連携も向上するほか、国が進める3D都市モデル『プラトー(PLATEAU)』や不動産IDと連携し、建築・都市のDXにつながる」と見据える。
内田課長は「いま作られているBIMに比べ、BIMの建築確認に対応することでより構造化したモデルを作成できる。AIとの相性が上がり、より新たな価値を生み出すことができる」と意義を語る。
実際、3次元モデルや2次元図面など既存の資産に対してAIを活用した自動設計や自動配置に展開する相談が増えている。「BIM図面審査の取り組みが広がれば誰もが構造化したデータを持つことができる。業務を効率化のための開発案件が増えるだろう」と内田課長は予測する。
国交省の建築GX・DX推進事業を活用し、地方の設計事務所やゼネコンがBIM図面審査に取り組むケースも増加している。飯田上級課長は「BIM活用に取り組んだ当初は基本設計、実施設計を目標に設定した。それが今は確認申請が目標の一つになっている」とBIM推進の動きを解説。「導入する意義の説明や会社が取り組む目標として明確にしやすい」とし地域に寄り添った支援を展開する。
近年はBIMに対する施主の関心が高まっており、ホテル、共同住宅、商業施設などを手掛ける事業者の問い合わせが増えている。内田課長は「プロジェクト全体を俯瞰し、維持管理などの発注者メリットを探っている。施主の利用が進むことで、構造化したBIMデータを活用する機会が増えるだろう」と見据える。
BIM図面審査をきっかけにBIMデータの活用範囲が広がりを見せる中、大塚商会は顧客の生産性向上へ挑戦を続ける。



