◇誰もが確認申請図を作成可能に/『GLOOBE ArchitectではじめるBIM活用入門』/日刊建設通信新聞社/4500円+税

2026年春に始まるBIM図面審査により、建設業界はBIMへの関心を高めている。国産BIMソフト「GLOOBE Architect」の初の解説書として企画設計からモデリング・確認申請図面作成まで実践的BIM活用法を紹介するのが「GLOOBE ArchitectではじめるBIM活用入門」だ。著者の小林美砂子BIMプランニング社長と内田公平鴻池組建築事業総轄本部技術本部ICT・BIM戦略部BIM戦略課長に、本書に込めた思いを聞いた。
両氏は14年に発足したGLOOBEユーザー会「Japan-BIM Connect」(JBC)のメンバーとして活動をけん引している。日本の法規・基準を満たすBIMの書籍出版は当初からの目標であり、10年超しの悲願が実現した。
これまで開発元の福井コンピュータアーキテクトやJBCも無料の操作マニュアルを作成してきたが、本書はJBCのノウハウに基づくBIMの活用法を紹介するのが特徴だ。小林氏は「断片的な操作マニュアルだけでなく、敷地検討から設計、確認申請までのBIMデータの活用について順を追って説明する書籍が求められていた。モデルと情報を活用するBIMならではのワークフローを紹介している」と経緯を語る。
現状ではBIMに敷居が高いと感じる設計者が多く、3次元モデルの作成が負荷になりがちだ。「モデルをつくるのがBIMだと思われているが、GLOOBEでは企画設計はスペースという空間オブジェクトを使用し、従来の2DCAD操作のように単線検討すれば面積の割合、容積率などを全て自動計算するため時短効果が大きい。図面と連動して3次元モデルもつくるためボリューム解析や斜線制限などの検討に有効だ」と説明する。
本書ではRC造7階建ての店舗付共同住宅の設計を通じてBIMの操作を学ぶことができる。「BIMは設計者自身が使ってこそ意味がある」もので、スムーズに活用できるようモデルの作成過程によく起きる手戻りに対するさまざまな対処法を「HINT」コーナーに示した。「ハンズオン講習でみんながつまずくところや、毎回出る質問の対処法をあますことなく掲載したのがマニュアルと違うところ」と説明する。
最大の特徴は「BIMにより手順どおりに設計していけば、確認申請図面も作成できる」ことだ。GLOOBEは建築確認申請に対応済みであり、設計にわずかな情報を付加するだけで確認申請用図面を作成できる。ページ数は当初予定した300ページから444ページに増加し、「操作マニュアルなら300ページで十分だが、実践的な操作法やノウハウを入れた分ページが大幅に増加した」と明かす。

初校の完成後は、内田氏が手順通りにモデルを作成し、問題がないか検証を行った。最終的に5人の設計者や開発者が本書の手順に沿ってモデリングし、分かりにくい記述を修正している。内田氏は、「GLOOBEを初めて操作する人も参加し、課題を修正した。どんな人がトライしても確認申請モデルを作成できる」と納得いくまで作り込んだ。
特に読んでほしいのは、これからGLOOBEを使う設計者や学生だ。「天空率などの法規を実務でどう処理するかを勉強できる。海外ソフトに比べ操作性も大きく変わらないため、法規やモデリングの基本が分かる」とメリットを挙げる。ベテランには「BIMの仕組みを知り、自分で操作してデータを見られるようになってほしい」と期待する。
小林氏は「BIMは敷居の高いものではない。最初の一歩に活用してほしい」と力を込める。海外では欧州やアジアでBIM発注・納品の義務化が進んでいるという。「日本もいずれ義務化する時代が訪れるため、取り残されないよう今から確認申請で活用してほしい」と見据える。
