【熊本城復旧基本計画】地震直前の状態に復旧、必要に応じて耐震化 熊本市の素案まとまる | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【熊本城復旧基本計画】地震直前の状態に復旧、必要に応じて耐震化 熊本市の素案まとまる

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 熊本市は、2016年熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城の復旧基本計画素案をまとめた。石垣と建築物は地震直前の状態に復旧することを基本に、必要に応じて耐震化などの安全対策を実施し、復興のシンボルとなる天守閣は、19年秋ころの大天守の外観の復旧、21年春ころの小天守を含む天守閣の公開を目指す。天守閣の復旧は大林組が担当している。パブリックコメントを経て、18年3月までに同計画を策定する。
 熊本城の被災状況は、重要文化財建造物13棟と再建・復元建造物20棟のすべて、便益施設26棟、石垣約2万3600㎡(全体の約3割)、地割れ約1万2345㎡となっている。
 同計画は、16年12月に策定した復旧基本方針に基づき、石垣や建築物など熊本城全体の復旧手順や復旧過程の公開などの具体的な方針と施策をまとめる。計画期間は18年度から20年間とし、22年度までの5年を短期、37年度の計画期間終了までを中期、100年先の復元整備完了までを長期と位置付ける。対象区域は特別史跡区域51.2haと年計画公園区域55.7ha。
 計画素案では、被災した石垣・建築物などの保全、天守閣の早期復旧、文化財的価値保全と計画的復旧、安全対策の検討などを基本方針とし、短期は、崩落・倒壊の危険がある石垣と建築物の倒壊防止対策、摩擦ダンパーや制震装置の採用による天守閣の耐震補強、瓦の落下防止や軽量化による耐震化を行う。
 中期は、工区や復旧過程の公開と文化財的価値の保全を踏まえた石垣と建築物の段階的復旧、無人化施工を利用した安全で効率的な復旧の検討など。
 長期は、100年先を見据え、関係機関や学識経験者、市民の意見を踏まえた復元を検討する。
 市は、計画実現に向けて新石材と保管ヤードの確保、主要工事動線の拡充などに取り組む。また、各施策の達成状況を毎年度確認し、5年ごとに計画の見直しを図る。

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