【中之島4丁目開発】文化・芸術・学術の拠点に! 大阪新美術館は21年度の開館目指す | 建設通信新聞Digital

4月17日 水曜日

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【中之島4丁目開発】文化・芸術・学術の拠点に! 大阪新美術館は21年度の開館目指す

「浮力を持って浮かび上がる美術館」をイメージした大阪新美術館の完成予想

 大阪市の中之島4丁目で、文化・芸術・学術拠点の整備が進められている。大阪市が(仮称)大阪新美術館を、大阪大学が「中之島アゴラ(広場)構想」として産学共創クロスイノベーション・アート拠点を、大阪府・大阪市などが未来医療国際拠点の形成を目指しており、さらには民間企業所有地についても研究者・企業関係者向けの滞在施設や利便施設の立地誘導を推進する計画だ。
 大阪新美術館は、市が所有する4900点以上の近現代美術品を展示収蔵する施設となり、想定規模はS造5階建て延べ1万7305㎡。あわせてカフェやレストラン、ミュージアムショップなどが入るサービス施設、駐車場、駐輪場も整備する。建設地は中之島4-32-14の敷地約1万3000㎡。
 現在は遠藤克彦建築研究所に委託して設計が進められており、2018年度内に設計を終える予定だ。18年度末から21年春にかけて工事を行い、21年度中の開館を目指している。
 黒い直方体を切り欠くように立体的に配置され自然光が降り注ぐデザイン性の高いパサージュ空間が特徴的で、イメージは「浮力を持って浮かび上がる美術館」。建物周囲に巡らされたデッキや道路に面して配置されたカフェ・レストランが、まちの回遊性やにぎわいの向上に貢献する。
 また、運営についてはPFI手法導入を検討。PFI法に定める公共施設等運営事業(コンセッション)方式を採用し、民間事業者が来館者から利用料金を徴収して事業運営に充てる。18年度に実施方針を公表して特定事業に選定し、19年度には事業者を公募し契約を結ぶ。

産学共創クロスイノベーション・アート拠点

 美術館西隣にある約1万2000㎡の大阪市市有地は、かつて市が開発事業者を公募したが不調となった。その後、阪大が大阪府・市に「アゴラ構想」を提案。用地全体を文化・芸術・学術・医学の発信拠点と位置付け、阪大はこのうち4500㎡の敷地に産学共創クロスイノベーション・アート拠点を整備する。
 ただ、当初は事業費60億-80億円を投じて延べ2万-2万5000㎡の施設を新築する計画だったが、資金のめどが立たず、事業費を30億円程度に圧縮した上で1月から「大阪大学創立90周年・大阪外国語大学創立100周年記念事業募金」を受け付け、この寄付金で整備費を賄う。
 産学共創クロスイノベーション拠点機能として、基盤研究施設、共同研究室、産学連携研究プロデューサー室、技術室、計算サーバー室、総合解析室、交流スペースなどが入り、アート拠点は大、中、小ホール、楽屋・稽古場・工房、宿舎、ライブラリー・アーカイブなどが計画されている。18年度から設計に着手し、21年度以降の施設オープンを予定している。

アゴラ構想対象敷地(大阪市市有地)

 敷地西側の約7500㎡は、未来医療国際拠点とする考えで、早ければ18年度に大阪市が拠点施設整備事業者を公募する。同年度以降に事業者が設計と工事を進め、21年度のオープンを見込む。

現在の中之島4丁目

 建物全体(ハード)と中核施設となる「(仮称)再生医療国際センター」(ソフト)の運営を分け、ハードの設置運営は民間ディベロッパーなどを中心としたSPC(特別目的会社)、ソフトの運営は入居する医療法人や企業、医療人材を育成する学校法人などで結成する(仮称)未来医療推進機構が担うことを想定。センターの機能としては、臨床研究専用病床や細胞バンク、研究ラボなどを検討している。

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