【100年に1度の大規模開発】渋谷スクランブルスクエア東棟と渋谷駅東口地下広場が11月1日開業 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【100年に1度の大規模開発】渋谷スクランブルスクエア東棟と渋谷駅東口地下広場が11月1日開業

 渋谷スクランブルスクエア東棟と渋谷駅東口地下広場が1日、開業した。官民のさまざまな主体が連携し、“100年に1度”と言われる渋谷駅周辺の大規模開発は大きな節目を迎えている。新施設が相次いで誕生し、駅改良などの基盤整備に加えて複数の再開発事業が進行中だ。未来に向けて、まちの姿は大きな変貌を遂げようとしている。

9つの再開発プロジェクト 東急・東急不動産の「渋谷駅周辺開発FACTBOOK」を基に作成

◆回遊・防災強化へ駅基盤整備
 渋谷駅東口地下広場は、東急と都市再生機構(UR)による「渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者」として土地区画整理事業の一環で整備された。工事では、雨水貯留槽、広場、渋谷川の移設・下水道化の整備を一体的に進めてきた。渋谷川は、一部を元あった場所から明治通り(東)方向に約35m移設。管理者である東京都の方針で河川をボックスカルバートにより下水道化し、15年8月に整備を終えた。
 その真下には、東口地下広場が広がる。トランジットジェネラルオフィスが運営する「UPLIGHT CAFE」にはテイクアウト可能なメニューや観光客に役立つ情報をそろえた。カフェや広場広告などの収益は、渋谷駅前エリアマネジメントを通して清掃やにぎわい創出といったまちづくり活動に還元される仕組みだ。また、パウダールームを併設した公衆トイレやコインロッカーを設置し、駅利用者の利便性や快適性を向上させる。

横向きに貼ったアルミスパンドレルやコンクリートの打ち放し、アーティストの作品により「流動性」「発展可能性」を表す東口地下広場

 駅周辺を改良する基盤整備は今後も続く。地下広場の整備に合わせて工事が進む雨水貯留施設は、2020年東京オリンピック・パラリンピック前の完成を目指す。“スリバチ地形”の最も低い位置に渋谷駅があることから、約4000m3の雨水を貯水できる貯水槽で豪雨時の浸水を防ぐ。

東口地下広場でのテープカット

 東口駅前地上広場や地下タクシープールを備えた西口駅前広場など、残りの駅周辺整備も27年度ごろまでに完了する計画だ。
 駅ホームの移設工事では、東京メトロ銀座線が20年1月3日から新駅舎の供用を開始すると発表した。新駅舎はホーム幅が約6mから12mに拡幅される。不足していた多機能トイレを整備するほか、M型アーチ構造で柱のないホーム屋根を含め、駅舎内は白で統一して明るい空間を演出する。JR埼京線は、20年を目標に山手線ホームと並列の位置へ移設し、乗り換え利便性の向上を図る。

銀座線新駅舎のイメージ

◆再開発プロジェクトも進展
 駅の改良や基盤整備に合わせ、再開発計画も活況を呈している。1日に開業した渋谷スクランブルスクエア東棟は、高さ約230mから東京の景色を一望できる屋上展望施設やオフィス、商業施設で構成する。2期の中央棟・西棟は27年度の開業を予定しており、基盤整備と合わせて開発が概ね完了する時期となっている。

スクランブルスクエアからの夜景

 渋谷フクラスは11月以降順次開業し、商業施設ゾーンでは12月5日に「東急プラザ渋谷」がオープンする計画だ。1月に解体工事に着手した渋谷駅桜丘口地区市街地再開発は、職・住・商や国際医療、企業・子育て支援など多用途機能を計画している。このほか商業施設の4階屋上に立体都市公園を整備する新宮下公園等整備事業は、20年春の竣工に向け工事が進む。
 さらに、事業着手に向け検討途中の再開発計画もある。渋谷駅桜丘口地区に隣接する約2.1haでは、18年11月にネクスト渋谷桜丘地区再開発準備組合が発足、12月には東急不動産を事業協力者に選定したと発表した。隣接する渋谷駅桜丘口地区の再開発事業とともに、代官山・恵比寿方面のゲート機能を担うことが期待されている。
 12年に開業した渋谷ヒカリエの南東隣接地では、渋谷二丁目17地区再開発組合が20年度の解体、21年度の本体着工、24年度の竣工を目指している。事業協力者は東急で、設計コンサルタントに東急設計コンサルタント・三菱地所設計・パシフィックコンサルタンツJV、再開発コンサルタントにタカハ都市科学研究所が参画している。

渋谷二丁目17地区再開発イメージ

【工事概要】
(1)事業者(2)用途(3)構造・規模(4)設計者(5)施工者(6)着工(予定)(7)完成(予定)。
▽渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)(渋谷2-24-12)=(1)東急、JR東日本、東京地下鉄(2)事務所、店舗、展望施設、駐車場(3)S・RC・SRC造地下7階地上47階建て延べ約18万1000㎡(4)設計は日建設計・東急設計コンサルタント・JR東日本建築設計・メトロ開発JV、デザインアーキテクトは日建設計、隈研吾建築都市設計事務所、SANAA事務所(5)東急建設・大成建設JV(6)2014年度(7)19年10月。
▽渋谷フクラス(道玄坂1-2-3)=(1)道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合(2)店舗、事務所、駐車場(3)地下4階地上18階建て延べ約5万8970㎡(4)マスターアーキテクトは日建設計、デザインアーキテクトは手塚建築研究所(5)清水建設(設計・監理)(6)16年(7)19年10月。
▽渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業(桜丘町1~3番地)=(1)渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合。事業協力者は東急不動産(2)事務所、店舗、住宅、サービスアパートメント、起業支援施設、教会、駐車場(3)地下4階地上39階建て延べ約18万4800㎡、地下2階地上29階建て延べ約6万9200㎡、4階建て延べ約830㎡(4)デザインアーキテクトは古谷誠章氏(5)鹿島・戸田建設JV(6)19年1月解体着工(7)23年度予定。
▽ネクスト渋谷桜丘地区市街地再開発事業(桜丘町16~18番、23番の一部、24番、25番の一部)=(1)ネクスト渋谷桜丘地区再開発準備組合(事業協力者は東急不動産)(2)(3)(4)(5)(6)(7)-。
▽渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業(渋谷2-17ほか)=(1)渋谷二丁目17地区市街地再開発組合(事業協力者は東急)(2)事務所、店舗、駐車場など(3)地下2階地上23階建て延べ約4万4560㎡(4)設計コンサルタントは東急設計コンサルタント・三菱地所設計・パシフィックコンサルタンツJV(5)未定(6)20年度解体着工予定(7)24年度予定。

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