【太陽工業】布製の膜天井で内装をリノベーション! 照明演出や音吸収で新たなオフィスづくり提案 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【太陽工業】布製の膜天井で内装をリノベーション! 照明演出や音吸収で新たなオフィスづくり提案

サーカディアン・リズムに合わせ、時間帯で照明が変わる膜天井を張った廊下

 テントメーカーとして、東京ドームやロンドンの五輪会場のドーム屋根を手掛けた太陽工業(大阪市)が、布製の膜天井を生かした内装リノベーション事業に乗り出した。膜天井は、東日本大震災以降に薄さや軽さが着目され、ニーズが高まったが、最近では天井をプロジェクターのスクリーンにしたり、照明と組み合わせる画像をプリントするなどのユニークな使い道もクローズアップされ、活用の幅が広がっている。
 屋外イベント会場やスポーツ施設用の膜天井などでは、世界トップクラスのシェアを獲得した同社だが、空間デザインを含めた内装リノベーション事業を手掛けるのは初めて。中嶋好清常務は「屋外向けの膜構造物は成熟期に入った。これからは『どう使うか』を考えるフェーズに入ってきた」と先を見通す。膜の持ち味を生かして実績を積み、新たな需要を見いだすことで膜の市場を広げることが狙いだ。
 膜天井の素材となる布は、ポリエステルの繊維を塩化ビニルでコーティングした、厚さ0.3mmほどの布素材でできている。全部で6種類あり、防炎・不燃性能を持つ。施工では1枚の生地を運び込み、30-50㎡の天井を1枚の生地で仕上げることができるが、布のたるみやしわを防ぐために技術が必要で、施工は専門の職人が行う。
 膜空間は照明との相性も良い。直接照明を取り付けて陰影を付けたり、膜の中に照明を組み込み柔らかい光をつくるといった工夫に加え、カラー照明で演出性を持たせるなど、空間に魅力を付け加えることもできる。大阪市立大医学部名誉教授などを歴任した井上正康氏によれば、膜には照明の光線や色、音を吸収する効果があり「雑音・雑光などのストレスをコントロールし、人間工学的にストレスの少ない空間を創造できる」という。

ポリエステル繊維の膜素材

 同社は手始めに、東京都世田谷区にある8階建て延べ2670㎡の本社ビルを本格的にリノベーションした。廊下の膜天井には時間ごとに変わる照明を設置し、サーカディアン・リズム(24時間周期の体内時計)を整える。会議室フロアでは、天窓から光を入れると膜天井がリバウンドし、布全体に拡散して全体を明るくする仕組みを取り入れた。爽やかな光で会議中の気分転換を図る狙いもある。
 メインターゲットはオフィスビルだ。コンサルティングから設計、膜天井や内装の施工まで、リノベーションを一貫して請け負う。働き方改革が浸透する中で、よりイノベーティブな発想が生まれる、快適で生産性の高い次世代オフィスを提案する。リノベーション済みの本社ビルはモデルルームとして公開中だ。

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