【重文・善光寺経蔵】耐震補強にチタン箔シート採用! はがせば簡単に元に戻る特性が決め手に | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【重文・善光寺経蔵】耐震補強にチタン箔シート採用! はがせば簡単に元に戻る特性が決め手に

チタン箔施工の様子。木の梁と挟み板にチタンシートを三重巻きにして包んでいる

 新日鉄住金と日鉄住金防蝕は、構造物へのチタン適用拡大に向けて注力している。需要文化財「善光寺経蔵」(長野市)の耐震補強で、厚さ0.1mmのチタン箔と、厚さ0.75mmの基材テープからなるチタン箔(はく)シートが、補強材の接合に採用された。重要文化財への採用は初という。
 今回の耐震補強工事では、天井と屋根の部材の損壊を防ぐため、小松精練が金沢工業大と共同開発したロープ状の炭素繊維複合材「カボコーマ・ストランドロッド」を柱と柱の間の筋交(ブレース)として採用し、建築物の耐震性を強化。天井と屋根の接合部材との接合部には当初、貫通ボルトで固定する工法が候補となっていたが、積層する数により強度を簡単に変えられるほか、文化財の材料を傷めないことや結露しにくいチタン箔の特性、耐久性が評価され、チタン箔シート積層に代替する工法に設計変更された。文化財保護の観点から両面テープをはがせば簡単に元の状態に戻せることも採用の決め手になった。設計施工を文化財建造物保存技術協会、構造設計を江尻建築構造設計事務所が担当し、9月に工事を終えている。
 既に群馬県富岡市にある「富岡倉庫」の耐震補強工事でも同様の検討を進めている。

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