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【炭素繊維複合材】新材料で“違う次元の建物”を! 構造家・江尻憲泰氏が拓く新たな可能性

最終更新 | 2017/03/15 17:24

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長岡造形大学教授 構造家 江尻憲泰氏
(江尻建築構造設計事務所主宰)

 「実務において直面する多くの課題を研究課題とする」。構造家の江尻憲泰氏(江尻建築構造設計事務所主宰、長岡造形大教授)は、「こだわることなくさまざまな知見を取り入れながら、いまある最善を尽くしていく」と自らのスタンスを語る。その姿勢がこれまでにない構造形式や新たな素材の活用といった先進的な取り組みにつながっている。ロッド状の炭素繊維複合材を耐震補強に使う世界初の試みとなった小松精練のファブリック・ラボラトリー[fa-bo(ファーボ)]もその1つだ。建築材料としての有用性と可能性について聞いた。
 ファーボの耐震補強に用いられた「CABKOMA(カボコーマ)ストランドロッド」は、先端素材の炭素繊維を芯材に使用し、外層を無機繊維でカバーリングしたもので、熱可塑性樹脂を含浸させ作製した熱可塑性炭素繊維複合材。小松精練が開発・提供した。

小松精練のファブリック・ラボラトリー[fa-bo(ファーボ)]

 その特性について「半端なく軽くて強い」ことを第一に挙げる。鉄に比べ同じ断面積では80分の1ぐらいの重量比で強さ(引張強度/比重)は10倍という。さらに「柔らかく丸めることができ、現場に搬出入しやすい。土に触れても腐食せず錆びることもない。耐久性があって温度変化にも強い。まさに場所を選ばない」と、その施工性の高さや適用範囲の広さも評価する。
 この「軽くて強い」特性を意匠的にも表現したのがファーボだ。建築家の隈研吾氏から「布で覆うように使いたい」と相談を受け、素材としての特性を知るほどに建物が繊細なレースをまとっているような軽やかなイメージが明確になっていった。「これが鉄のワイヤーだったら自重でたわんでしまう。それを抑えようとテンションをかければ建物にも負担がかかってくる」とも。
 隈氏とは青木研究室勤務時代からの付き合いで「アオーレ長岡」など協働の機会も多い。現在もカナダ・バンクーバーや熱海でこの炭素繊維ロッドを使ったプロジェクトが進行中だという。「隈さんと一緒にやらせてもらうと新しい素材をどんなふうに使えるか、いろいろと試すことができる。試行錯誤しながら考えていくことで材料の特徴がより見えてくる」と相好を崩す。

木造耐震化に期待

 RC造のファーボに続いて、木造の伝統建造物である善光寺「経蔵」の耐震改修では耐震ブレースとして活用。重要文化財の修理で世界初の事例となった。「内部の部材を傷つけず結露もしない。性質としても木に近い」とし、全国的に活用事例が増えていくものと期待を込める。

善光寺屋根面ブレース

 今後、特に有効だと見ているのが「一般的な木造建築の耐震補強」だ。「筋交いに2本取り付けるだけで4倍から5倍の壁倍率がとれる。人力で持ち運びでき、ドリルとカッターがあればDIYでもできてしまうかもしれない」と指摘し、「木造住宅の耐震化率は非常に低いだけに、有効な手段になり得るのではないか」と強調する。

違う次元の建物へ

 一方、現下の課題としては「接合部」を挙げる。現在は建築基準法の建築部材としての認可を得ていないため、耐震補強材ではあくまでも「プラスアルファの位置付け」としての使用にとどまるだけに、「接合部をより工夫することで普及のスピードが速まり、活用事例を積み重ねて一般的に使うことができるようになっていけば、おそらくは違う次元の建物ができる可能性がある」と見通す。
 「竹の構造体」もライフワークの1つ。「竹も炭素繊維も非常に魅力的な材料。普及した方がいい材料」と力を込めつつ、「いま当たり前と思っていることが本当に当たり前なのか、いつも怪しいと考えている」とも語る。いま、この時代に一般的と考えられていることも、時代を遡り、また時代が過ぎれば違って見えることは多々ある。だからこそ「絶えず新しい知見を取り入れたり、過去の技術を見直すことが大事になる」と。
 えじり・のりひろ 1962年東京都生まれ。88年千葉大大学院工学研究科(修士課程)修了後、同年青木研究室入社、96年に江尻建築構造設計事務所設立。現在、長岡造形大学建築・環境デザイン学科教授、日本女子大非常勤講師も務める。
fa-bo 小松精練の旧本社棟(石川県能美市)を耐震補強し、炭素繊維と建築の未来を提案するファブリック・ラボラトリーとして改装した。改修設計は隈研吾建築都市計画事務所、構造設計を江尻建築構造設計事務所が担当。清水建設の施工で2015年11月に竣工した。カボコーマ・ストランドロッドの全長は3万m、ロッドに使用した炭素繊維の総m数は63万mにも及ぶ

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