【トウキョウ建築コレクション】修士設計のグランプリは小黒由美さんの『山を登ることと建築』 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【トウキョウ建築コレクション】修士設計のグランプリは小黒由美さんの『山を登ることと建築』

修士設計展の受賞者と審査委員。 前列中央がグランプリの小黒さん

 全国の修士学生による修士設計・修士論文を審査・展示する「トウキョウ建築コレクション2018」が2月27日から3月4日まで東京都渋谷区の代官山ヒルサイドテラスで開催された。全国修士設計展では東京藝術大大学院(中山英之研究室)の小黒由美さんの作品『山を登ることと建築』、全国修士論文展は東大大学院(西村幸夫研究室)の三文字昌也さんの『台湾における遊郭立地の研究1895-1945 日本植民地都市計画論の観点から』が、それぞれグランプリに選ばれた。
 12年目となる今回のコレクションは「融合(FUSION)」を全体テーマに掲げ、計43大学が参加した。このうち4日に開かれた全国修士設計展の公開審査では1次審査(非公開)を突破した11作品を、千葉学氏(委員長)、石川初氏(モデレータ)、重村珠穂氏、成瀬友梨氏、原田真宏氏、山脇克彦氏の6人が審査。プレゼンテーションと巡回審査をもとに1人3票を持ち票に投票した上で総括セッションを行い各賞を決めた。
 地域再生のためのモビリティ変革案やプラスチックごみを建築構成材に転化する提案、環境変化に応答する「動く建築」や離島での魅力ある暮らしを構築していく提案など、「いずれも誠実にリサーチし、自分の体験に照らし合わせたすばらしい提案」(千葉委員長)がそろう中、グランプリとなった『山を登ることと建築』は、山を登ることと建築をつくることの類似性を研究したもので、山小屋を装備品の延長ととらえ、運搬施工の容易な規格と工法でつくられる5年間の建設プロジェクトを提案。「極めて個人的であり具体的で個人と世界が建築を介して接続しようという意思を強く感じた」(原田氏)などと高く評価された。
 総評では「小さく切り分けるのではなく、全身で世界と建築に向き合ってほしい。これから建築をやっていく上で20代をどう過ごすかがとても大事になる」(原田氏)などと激励する声が上がり、千葉委員長も「これだけの提案ができる人たちが建築の世界に来てくれることに勇気付けられる思いがした。これから自分に投資するためにどういう環境に身を置くべきか考え、建築をつくり続けることをこれからもやってほしい」と呼び掛けた。
 特別協賛の建築資料研究社/日建学院から副賞としてグランプリ受賞者には1級建築士講座の無料受講権、審査員賞受賞者は半額受講権が授与された。

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