【測量野帳】文房具ファンの心に火をつけた! 1959年誕生の「硬派な」アイテムが人気 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

公式ブログ

【測量野帳】文房具ファンの心に火をつけた! 1959年誕生の「硬派な」アイテムが人気

限定品の野帳を手にしたファン

 「ゆっくり入場して下さい。測量野帳はまだまだあります」。コクヨが東京都千代田区のKITTEで開催した最大規模の文房具イベント「コクヨハク」では、開場前から測量野帳ファンが列を作った。会場にはピンク、ホワイト、イエローの限定色や、人気イラストレーターとのコラボ野帳などが並んだ。
 測量野帳といえば、現場監督の必需品として知られるが、実は数年前から、文具業界でも大ブームが起きている。建設業や研究者といった「硬派な職種」が使うアイテムであり、なおかつ300円程度の入手しやすい価格、日常の小さな出来事やスケッチを書き留めるのに適したサイズ、といった条件が、文房具ファンの心に火をつけた。
 「7年ほど前から『ヤチョラー』と呼ばれるファンが現れ、自分なりにカスタマイズしたり、使い方を共有したりするうちに、じわじわとブームが広がった」と、コクヨハクの会場に立つ白石良男広告宣伝ユニット長は話す。ファンの中には、独自のスタイルや遊び心を生かしてカスタマイズした野帳を、インスタグラムやツイッターなどにアップする人も多い。ウェブコミュニティーを起点に、野帳ファンのすそ野はますます広がっている。

各国の段ボールで製作したアーティストコラボ品の野帳カバー

 同社は「コクヨハク」でも、活版印刷機による名入れサービスや、自分だけのカバーを作れるワークショップ、人気イラストレーターによるコラボ野帳の販売など、ファンサービスに取り組んだ。また、各国の段ボールを使った日用品コレクション「Carton」のアーティストである島津冬樹氏の製作した野帳カバーを渋谷区のカフェで販売するなど、新しい切り口で野帳の魅力を発信している。
 測量野帳は、測量法の制定をきっかけに測量業務が増えた現場の要望を反映し、1959年から販売を開始。それ以降デザイン変更もなく、50年が経過したいまも当時の面影がそのまま残されている。
 「熊の生態を研究している人から、紛失した測量野帳が1年5カ月後に山の中から出てきて、中身が無事だったとお礼を言われたこともある」と白石ユニット長。いろいろな動物の噛み跡はあったものの、貴重な記録は戻ってきた。丈夫さを示すエピソードとして方々で驚かれたという。
 昭和の時代から、建設業界で使われてきた測量野帳は、堅牢かつ丈夫な“現場の逸品”である。建設業のドラマチックな歴史とともに、いまでは文房具ファンにも愛されている。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら