ITツールの導入で中小企業・小規模事業者の業務効率化を支援する経済産業省の「IT導入補助金」の3次公募が始まった。ソフトウェアなどの導入費の2分の1(上限額50万円)までを負担する助成金制度で3次元ソフトや勤怠管理システムなど建設業向けITツールも対象だ。生産性向上を実現した大塚工務店(静岡県藤枝市)と奈々ホーム(岩手県一関市)の事例を紹介する。
大塚工務店
宮大工の技術を継承する地域密着型工務店となる大塚工務店は、2020年以降の建築市場を見据え、顧客への提案力向上、社内業務の合理化による競争力強化に向けた3次元CADによる業務改革に取り組んだ。
導入したのは『MADRIC・AD-1』(ベンダー=シーピーユー)。3次元での外観・内観の完成イメージの作成、間取り・設計図面の作成、リフォーム・建物燃費計算シミュレーション、顧客管理・確認・実施・積算機能などを備える。
同社は「ITツールはまずはやってみることが重要。導入効果を最大限に引き出すため、ITツールの選択には導入後のサポートが手厚いIT導入補助金支援事業者を活用するべき」とポイントをあげる。
奈々ホーム
奈々ホームは、2017年5月の法人化を機に、ITツールを活用して原価や予算実績管理など業務の“見える化”に取り組んだ。得意とする自然素材の活用や熟練の大工の経験値などをデータで管理し、情報分析することでブランド力の向上、商品やデザイン力の強化を目指している。
知りたい情報をリアルタイムで集計・確認できるほか、工事別や月次・年次別の集計など経営管理に必要な情報をまとめる時間が大幅に短縮されるため、今後は経営判断の指針として活用する方針だ。同社は「どんな会社にも強みや弱み、事業課題があるが、ITツールを使うことで解決できる課題は多い。同業者や友人、専門家から情報を集め、補助金の申請を勧めたい」と語る。
