JM(東京都千代田区、大竹弘孝社長)が設計施工、マネジメントを手掛けた相模原市のセブン-イレブン・ジャパン店舗に「スライド工法」が初適用された。店舗の基礎と建物を同時に施工し、完成後に建物をレールでスライドさせて基礎と合わせる工法で、従来と比べて工期を約3日短縮した。導入に当たっては3次元設計やVR(仮想現実)の活用にも積極的に取り組んだ。大竹社長は「3次元設計を当たり前にして工業化施工を進め、他の小規模施設のイノベーションとなるようにしたい」と力を込める。
スライド工法を初適用したセブン-イレブン相模原橋本台1丁目店の規模は、S造平屋建て271㎡で、敷地面積は1625㎡。工期は3月19日から5月21日まで。実証店舗として環境負荷低減や働きやすさ向上のため、90種類の最新技術が採用されており、スライド工法もその1つとして導入された。
また、これまで既設店舗の駐車場を拡大する場合は、敷地内に店舗を新設した後、従来の店舗を解体しておりコストがかかっていた。新築時にスライド工法を採用することで、駐車場拡大時も再びスライド工法を適用できるため、新築、解体にかかる資源の無駄を省き、環境への配慮にもつながる。
今回の初適用では建物や基礎、仮設架台などを3次元で設計し、詳細部の確認に注力した。また、VR(仮想現実)技術も導入。ヘッドマウントディスプレーで仮想空間内に実物大の建物を再現し、スライドやジャッキダウンのシミュレーションを重ね、構造検討した仮設架台を製作した。
さらに構造体と地盤には加速度センサーを設置。建物の劣化診断などメンテナンスに生かしていく。これまで同社が18年間にわたり手掛けてきたセブン-イレブンの保守メンテナンスなどのデータを活用してAI(人工知能)によるコスト削減も進めていく考えだ。
セブン―イレブン・ジャパンの大橋尚司取締役執行役員建築設備本部長は今回の工事について「初めてスライド工法を適用したが工期の短縮につながっている。改善点をブラッシュアップし、またチャレンジしたい」と期待を寄せた。