【JM職人甲子園】技術とコミュニケーション力で競え!"施設医"職人の頂点めざし切磋琢磨 | 建設通信新聞Digital

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【JM職人甲子園】技術とコミュニケーション力で競え!“施設医”職人の頂点めざし切磋琢磨

白熱する技能競技

 前田建設グループのJM(東京都千代田区、大竹弘孝社長)が、全国の加盟店に属する技能者(クラフトマン)の腕を競わせる「JM職人甲子園」が、15日に東京都練馬区の光が丘ドームで開かれた。激励に訪れた前田建設の前田又兵衞総代が「平常心で仕事をする難しさを感じてほしい」と声をかけたように、職人同士の真剣勝負が繰り広げられた。 「回を重ねるごとに、職人たちの意識の高さを感じる。出場した選手はもちろん、応援に来た同僚も、いつか自分も出場したいという思いを強くしている。それがJMの底力になっている」と、大竹社長は手応えを口にする。2015年からスタートした職人甲子園は今回が3回目。ここへの出場を目標にしている職人も少なくない。
 店舗や工場など全国に点在する“施設医”として、メンテナンス工事を手掛ける同社は、12年に全国各地の工務店などとフランチャイズ契約を結んだサテライト体制を確立した。現在の加盟店数は40社となり、施設を守る職人は4000人にも達する。
 同社の強みは独自開発のITツール「JM-Pad」を、職人が使い、修理依頼から請求までの処理も自ら行う合理性にある。膨大な建物カルテデータの中から修繕の最適解を示せる点も特長だ。職人は最前線に立ち、顧客の要求を聞くとともにメンテナンスの具体提案も示す営業的な役割も担う。大竹社長は「彼らには技術力はもちろん、コミュニケーション能力も問われる。そうした能力を向上させる場として職人甲子園をスタートした」と説明する。
 職人甲子園は、全国のサテライト(ST)から選抜された職人が一日かけて日ごろの腕を競い合うが、技術力だけでなく、顧客が何を求めているかを把握するコミュニケーション能力も含め、総合的なスキルを判断する。

来場者は全国から350人が参加

 第3回には13人が出場した。1種目は重量13㎏の石こうボード10枚を9m先の位置まで正確に早く運ぶ能力、2種目はクイズ形式によってJM職人としての心構えや知識力、3種目では顧客のニーズをどれだけ把握できるかを審査し、そして最後に技能を競った。
 技能競技では、顧客が日曜大工で作成しようとした犬小屋を完成させる課題を設定し、依頼をどれだけ忠実に具現化できるかを審査した。3種目のコミュニケーション審査の際にしっかり要望を把握しないと、顧客の満足した犬小屋が完成しないようになっている。まさに技術力とコミュニケーション力が判断される。
 1位に輝いたのは高松STの松浦拓哉さん、2位は岩手西STの後藤正男さん、3位は足立STの加藤木進さん。「優勝賞金は100万円だが、賞金目当てというより、むしろ負けられないという職人のプライドがぶつかり合う。勝っても負けても意識は変わる」と大竹社長は実感している。
 技能の題材に掲げた犬小屋には理由がある。中屋建二執行役員マーケティング本部長は「これまでBtoBの店舗修繕が中心だったが、これからはBtoCにも力を注ぐ。一般消費者の目線をという思いを込めて犬小屋を題材にした」と明かす。
 競技後の表彰式では、出場者から「自分に足りない部分を克服したい」「これからもコツコツと業務に取り組みたい」など前向きな感想が相次いだ。力を出し切れず、悔しがる姿も見られた。大竹社長は「切磋琢磨(せっさたくま)する職人の意識がJMの原動力」と強調する。建物の維持管理メンテナンスを軸に事業展開する同社の業績は02年の設立以来、右肩上がりで推移し、16年度売上高は240億円を見込む。「会社としても常に従来のやり方から脱皮しないと成長はない」と先を見据えている。

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