福岡県那珂県土整備事務所が高尾川床上浸水対策特別緊急事業の一環として建設を進めている高尾川到達立坑築造工事の現場見学会が5月30日、筑紫野市二日市の現地で行われた。
参加したのは佐賀大理工学部都市工学科の1年生100人。施工を担当するオリエンタル白石・陽光建設JVの協力で実施し、オリエンタル白石の福岡工場も見学した。学生は社会資本整備の意義やニューマチックケーソン工法の利点などを学んだ。
佐賀大大学院工学系研究科都市工学専攻の宮原真美子准教授ら11人が引率し、2グループに分かれて交互に見学した。高尾川流域は、2014年8月22日の豪雨で92戸の床上・床下浸水が発生し、15年4月におおむね5年間の床上浸水対策特別緊急事業に採択された。高尾川の川底から約10m下に約1㎞にわたって地下河川を整備するもので、オリエンタル白石JVは地下河川の水を河川に排出する流出施設を建設している。
ケーソンは直径11.5m、深さ25.1mとなる。工事は鉄筋・型枠を組んでコンクリートを打設した後、沈下掘削する作業を6回繰り返す。見学日は掘削の初日で、掘削した排土をアースバケットに入れて土砂ホッパーに移していた。現地は西鉄二日市駅に近い住宅地のため、騒音、振動対策に細心の注意を払って作業を進めている。工期は19年1月15日まで。
同行した北島勝監理技術者は、ニューマチックケーソンの利点について、「掘削などの作業が人の目で見られることだ」と話した。固い岩盤の対応についての質問には、「天井走行式掘削機の掘削バケットの替わりにブレーカーを装着したり、発破で岩を砕く」と答えた。女性技術者を目指すという学生は「丁寧に説明していただき、分かりやすかった」と感想を話した。
福岡県大刀洗町の福岡工場では、PCとRC、プレテンション方式とポストテンション方式の違いなどを説明した後、プレテンションの製作工程を見学した。