【東亜グラウト工業】下水熱を空調に! 管底設置型下水熱回収システム「マグマロックHB」が初適用  | 建設通信新聞Digital

4月23日 火曜日

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【東亜グラウト工業】下水熱を空調に! 管底設置型下水熱回収システム「マグマロックHB」が初適用 

 東亜グラウト工業が開発した管底設置型下水熱回収システム「マグマロックHB(ヒートバンド)」が、シーエナジーによる諏訪赤十字病院(長野県諏訪市)でのエネルギーサービス(ES)事業に初適用された。従来のマグマロック工法を応用し、ステンレススリーブで下水管内に採熱管を設置した。回収した下水熱はヒートポンプの熱源として病院の空調に利用しており、エネルギーの地産地消に貢献している。
 マグマロック工法は、耐震性のない既設管きょを短時間で耐震構造にする非開削耐震化工法。ステンレススリーブと固定金具方式を組み合わせることで、既設の中・大口径管きょをレベル2地震動に耐える構造へと改善する。ラインアップには呼び径200-700mmを対象とした「マグマロック工法mini・NGJ」や呼び径800-3000mmを対象とした「マグマロック工法NGJ」がある。

ステンレススリーブで採熱管を固定

 新たに開発したマグマロックHBはマグマロック工法を応用した技術で、ステンレススリーブで管底部に採熱管を固定する。同病院では、西側の湖岸通りにある内径2000mmの下水管内の約50mの区間に、1.5m間隔で計34カ所にステンレススリーブを設置。管底部には138本の採熱管を固定した。
 導入に当たっては下水の流量によって採熱管が動いたり、流されないかを入念に検証した。技術開発室の柴博志氏は今後の展開について「より施工性を高めていきたい」と先を見据えており、効果やコスト、課題を確認し、下水熱による空調利用の普及拡大を図っていく。

諏訪赤十字病院の管理棟

 同病院では管理棟の増築に伴い、2016年10月からエネルギー利用のための設備工事に着手した。下水熱を回収する採熱管のほか、地中熱回収に向けて深さ100mのボアホールを40カ所に設け、地中熱採熱管を設置。ことし2月に工事が完了した。
 3階建て管理棟の1階は水冷チラーや空冷ヒートポンプチラーなど各種の熱源機器を設置しており、同病院のエネルギーセンターとして機能している。回収した下水熱や地中熱は管理棟の設備に集約され、同病院の空調負荷を賄っている。すでに4月からエネルギー供給を開始しており、シーエナジーは今後はデータを集めて最適な運用を目指していく。

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