【自然栽培と同等の品質】下水熱でわさび栽培 新潟県・長岡技術科学大学などが共同研究中 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【自然栽培と同等の品質】下水熱でわさび栽培 新潟県・長岡技術科学大学などが共同研究中

 新潟県や長岡技術科学大学などが共同で進めている下水資源・エネルギーを活用した植物栽培が成果を上げている。下水処理水から熱交換器で冷温熱を回収し、わさびの栽培水の冷却や加温に活用。散水した栽培水を無駄なく使うことで水の使用量を抑えた循環式の栽培方式を構築し、大きさや辛みも自然栽培と遜色ないわさびを育てた。

約600株を栽培している


 試験フィールドは、新潟県(協力者)が提供する新潟市の西川流域下水道西川浄化センター。2016-17年度はGAIA(下水道技術研究開発)プロジェクト、18~19年度は下水道応用研究として国土交通省の支援を受けて研究を実施。20~21年度は同大学のほか、東亜グラウト工業、明電舎、大原鉄工所が共同で研究を進めている。

 実証では19年3月から2種類のわさび約600株の栽培を始めた。塩素混和池内の熱交換器で回収した下水熱からヒートポンプで夏季は冷水、冬季は温水を製造し、栽培水に利用した。

 散水した栽培水は再び冷却し、無駄なく使うことで水の使用量を抑え、効率的な栽培を実現。定植したわさびのうち、栽培に約18カ月を要する品種は可食部が15cm程度まで生育し、通常売られている自然栽培のものと同等以上となった。

 2日には現地で研究報告会を開催。国土交通省や県、参画企業から約20人が参加し、わさびの生育状況を確認した。同大学の姫野修司准教授は研究内容を説明した上で、「下水道の新たな価値を見出すことや、地域の活性化につなげることに注力して取り組んでいる」と話した。

自然栽培と遜色なく成長した

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