【古写真だけで3Dモデル】表裏2枚で彫刻欄間を復元! 安藤ハザマとアールテックの新技術 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【古写真だけで3Dモデル】表裏2枚で彫刻欄間を復元! 安藤ハザマとアールテックの新技術

 安藤ハザマとアールテック(浜松市、小杉隆司社長)は21日、井波彫刻協同組合(富山県南砺市、藤崎秀平理事長)の協力のもと、彫刻欄間の表裏2枚の古写真から3Dモデルを制作する技術を日本で初めて開発したと発表した。今後、国内に多数存在する文化財・歴史的建造物の復元事業に、積極的に展開していく方針だ。
 同技術は、数枚の写真から複雑な形状をした立体造形物の3Dモデルの制作を可能とした。また、完成した3Dモデルを3D-PDFデータ化し、電子メールで送付すれば、離れた場所にいる複数の関係者とモデルを共有して検討することができる。ウェブ会議などでも立体画像を各自が間近で見ながら、詳細な意見交換をすることができる。
 形状の変更なども、実際の試作品を何度もつくり直すことに比べて極めて容易であるため、作業を大幅に効率化できる。3Dプリンターを使えば、模型が簡単に制作できるため、3Dモデルと模型を合わせて活用することで、より精度の高い復元を目指した検討が可能だ。

彫刻欄間の表面


上側が表面で下側が裏面


上側が表面で下側が裏面


裏面

 城郭建築や社寺仏閣などの古建築で、現物が消失し写真だけが残っている彫刻欄間を復元制作する場合、従来の方法は、専門の彫刻職人が写真のあおりやひずみを補正した原寸大の下絵を作成し、それを木板に描き写したあと、有識者の指導のもとに手作業で彫刻するため、職人・有識者・工事関係者が打ち合わせを重ね、実際に試作品をつくる必要があった。
 また、一般的に文化財や歴史的建造物などを復元する際は、全国各地の有識者が一堂に会し検討会を開く必要があるため、時間的な制約もあった。
 これまで、現存する彫刻欄間を撮影し3Dモデル化した例はあったが、現物が存在しない彫刻欄間の古写真から3Dモデルを制作したのは、今回が日本初という。

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