【建設現場が楽になる】人口減少社会に必要なのは「情報共有」でのムダ削減 家入龍太氏が講演 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【建設現場が楽になる】人口減少社会に必要なのは「情報共有」でのムダ削減 家入龍太氏が講演

 日刊建設通信新聞社が5月23日に、建築ITジャーナリストの家入龍太氏(イエイリ・ラボ代表取締役)を講師に招いて、東京都港区の機械振興会館で開催した「建設現場が楽になるデジタル革命セミナー」(後援・Box Japan)=写真=で同氏は、現場情報を「紙」から「タブレット、スマートフォン」に変えることによる情報共有で、かなりのムダが削減できることを実例を交えながら紹介した。講演に続いてBox、MetaMoji、CLUE、YSLソリューションの各社が、現場を楽にする製品をアピールした。
 家入氏は、今後の建設投資額が「長期的に見て、あまり伸びる可能性はない」が、わが国の人口が減少していく中、「少ない人数で仕事をすべきことを決断する」時期を迎えているとし、他社に打ち勝っていくための成長戦略として「ファシリティーマネジメントや維持管理などの新しいサービスを売ることと、国際市場への進出」を挙げた。
 一方、国内での生産性向上については「革新の中身はBIM、CIMの機能強化とICT活用、機械化施工のアライアンス(連携)の強化」が不可欠だとし「付加価値を上げるためには、労働時間を短くすることと、少人数でやること」が肝心だとした。
 また、日本企業の生産性が「先進7カ国の中で最も低い」ことを指摘し、その例として会議の開き方を取り上げた。「会議のスケジュール調整には、実に多くのコストがかかる」ことから、多くの人たちが現場に集まる建設業では、この点でも生産性向上の余地があるという。
 それに加えて、日本の製造業には、作りすぎ、手待ち、運搬、在庫、加工、動作、不良を作るという7つのムダがあり、建設業にはさらに(1)要求に見合わない最終製品を提供するムダ(2)活用されない知財のムダ-施工ノウハウが設計に生かされない(3)チームワーク欠如のムダ--の3つのムダがあるとした。
 紙の現場情報から、タブレット、スマートフォンを使ったリアルタイムな情報共有がもたらす効果として、例えば野帳を電子化し、クラウドに情報を入れておくことで、職長が集まることなく共通の図面が見られるようになることや、これまで図面、野帳、カメラ、黒板という装備が必要だったものがタブレット1個だけで済むようになること、クラウドの情報を見ることで、自社の全現場で何が起きているかが分かることのほか、タブレットで使えるCADソフトを利用すれば、クラウド上の図面が編集でき、生産性の向上につながるとした。
 「現場データを重ね合わせて生産性を向上できるだけでなく、データ化することで人工知能(AI)が施工管理に使えるようになる。IoT化によってデータ化し、それを分析し、フィードバックしたものをクラウドサーバーにバックアップしておく必要もある」とし「労働力不足を補うのはAIとロボットとの協働だ」と論じた。
 講演に続く各社の製品紹介では、クラウド・コンテンツ・マネジメント会社であるBox社は、同社の保有する豊富なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)によって、電子化された紙書類の同じページを全員で共有できるようになること、MetaMojiは建設専門用語3万語を内蔵し、タブレットに手書き入力でき、しかも、現場ごとに異なる帳票にも対応する電子野帳「eYACHO」を、CLUEは「ドローンが当たり前に飛び交う社会に」をモットーに、ドローンを使った測量と現場観測アプリを開発していること、YSLソリューションは、Boxと連携した建築プロジェクトの情報伝達・共有システム「chex(チェクロス)」と現場検査・点検業務支援ソリューション「LAXSY」を紹介した。

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