【記者座談会】建コン協の意見交換会、働き方改革待ったなし/佐藤総合計画・乃村工藝社JVが国際コンペ制す | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】建コン協の意見交換会、働き方改革待ったなし/佐藤総合計画・乃村工藝社JVが国際コンペ制す

A 建設コンサルタンツ協会の2018年度地方ブロック意見交換会が中部地区からスタートした。ことしの特徴は。
B 働き方改革関連法が成立したことで、来年4月から改正労働基準法施行に伴い残業時間上限規制が建設コンサルタントに課せられる。原則、月45時間かつ年間360時間を上限とし、特例でも年720時間かつ2-6カ月平均で月80時間以内、単月では月100時間未満とするもので、この上限規制を超えた企業には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるだけに、働き方改革は「待ったなし」として、特に長時間労働の解消に向けた発注者としての取り組みを従前以上に強く求めている。
C 売上高100億円以上の会員企業16社の2017年度データを対象に、2、3月に納期が集中し、3月の平均残業時間が最大となった企業で92時間に達するなど、現状のままでは法律違反にならざるを得ない実態を根拠を持って明確に示したのも大きな特徴だ。
A 対する中部地方整備局の対応は。
C 納期の分散化に向けた取り組みなど非常に前向きだと感じた。もともとウイークリースタンスの実施状況では全整備局でも断トツだったが、これをすべての委託業務に広げるなどさらなる取り組みを強化する姿勢も鮮明にした。トップバッターとしては模範的な回答だったのではないか。
B やはりトップの姿勢が大きい。塚原浩一局長は意見交換を通じて「危機感を共有できた」と評価し、「相当の覚悟を持って取り組まなければ、われわれもブラック発注者になってしまう」との認識も示した。
C 次回は24日の北海道地区となる。今後、最終となる9月10日の関東地区まで官民の対話がどう深まっていくのか、注目したい。

世界初の水槽が見どころに

A ところで佐藤総合計画・乃村工藝社JVが、中国の深セン市に建設される『小梅沙エリア、新海洋世界(水族館)・ハイエンドリゾートホテル建築設計』の国際コンペで当選したね。
D “アジアのシリコンバレー”とも呼ばれる深センは、世界最先端の技術が集積し、世界的に著名な建築家の作品も多い。今回のコンペには70社50JVがエントリーした。佐藤総合計画JVは2位だった米国のリーサー・アーキテクチャー、3位となった英国のザハ・ハディド・アーキテクツを制しての勝利だ。
A どんな提案だったのか。
E 白い巻貝のように輝くらせん状の水族館や5つ星ホテルなど5棟総延べ13万㎡超の施設群を南シナ海の海流の循環をイメージさせるように配置した。水族館は海の中をくぐるような展示と建築が一体化したもので、日本の技術を駆使して直径20mの円筒形の水槽の中に幅10mのドーナツ型の水槽を組み込んだ。中心部も水槽になることで、内と外を同時に見ることができる世界初の水槽が見どころの1つになる。

白い巻貝のように輝くらせん状の水族館やホテルなど5棟総延べ13万㎡超の施設群を南シナ海の海流の循環をイメージさせるように配置


D 今回のコンペでは、コンセプトの魅力を評価して設計者を決めたという。コストや施工性は次の段階で固めていくやり方のようだ。1次審査を通過した6者には日本円で1300万円ほどの参加報酬が支払われている。
A はじめに予算ありきの日本とはだいぶ違うね。より良いアイデアと、その実現に向けた詳細な提案を求め、世界に誇れる建築をつくろうとする姿勢には学ぶことも多い。
E 佐藤総合計画JVは急ピッチで基本設計を進めている。その後は現地に精通した地元事務所が実施設計を担当するようだが、施工も含めて監修という形で関わっていくことになる。21年の完成が楽しみだね。

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