【記者座談会】日建連次期会長に宮本副会長 主要ゼネコンの第3四半期決算 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【記者座談会】日建連次期会長に宮本副会長 主要ゼネコンの第3四半期決算

A 日本建設業連合会の次期会長に宮本洋一副会長・土木本部長の就任が内定した。意気込みは。

B 15日の会見では、「建設業も大きな変革期を迎えている」とした上で、コロナ禍を危機としてではなく変革を進める好機ととらえて、デジタル技術による生産性向上、カーボンニュートラルへの対応などの「やるべきことをしっかり進める」と明言した。生産年齢人口の減少などを見据え「担い手の確保、働き方改革は“待ったなし”」との考えも示していた。建設キャリアアップシステム(CCUS)については「これまでの流れを止めることなく、会員企業が一丸となって普及・定着に取り組む」と強調していたね。

A 押味至一副会長・建築本部長が土木本部長となり、新たな建築本部長に蓮輪賢治副会長(大林組社長)が就任する予定だね。

C 会長と土木、建築両本部長は鹿島、清水建設、大成建設が担当してきた。3社以外からの人選は初めて。日建連側は「従来から適任者を選任している」と説明するが、今後の動向が注視される。

A 勇退する山内会長の功績は顕著だったね。

B 働き方改革とCCUSを2大事業に位置付け、「不退転の覚悟で取り組む」姿勢が印象的だった。週休2日については4年前の会長就任に先立って推進本部を設置し、積極的に活動を展開してきた。それが現場閉所の拡大につながっている。

C CCUSに対して「軌道に乗せられなかったことは非常に残念」と話すが、国土交通省や取り組みが遅れている他団体を動かすリーダーシップはさすがの一言。その意思が宮本体制に引き継がれ、建設技能者の処遇改善が前進することに期待したい。

15日に都内で会見した日建連正副会長(左から山内会長、宮本副会長、押味副会長)

◆景気回復へ、厳しさ増す建築の受注環境

A 話は変わるけど、主要ゼネコンの2021年3月期第3四半期決算の状況は。

D 12日までに開示された大手・準大手ゼネコン25社の連結決算は全体の8割に当たる20社が減収となった。営業減益も目立つ。売上高や利益は、過去に受注した手持ち工事の結果だけに、前期あるいは前々期あたりから需要の端境期に入っていたことも大きな要因だろう。

E 新型コロナウイルス感染症による影響を受けながらも、各社が原則として現場を稼働させてきたことから、手持ち工事は順調に消化している。好調だった前期との比較である点も踏まえれば、前期までの好業績による“反動減”との見方もできる。

D 今期の業績はさておき、本当に心配なのは来期以降だろう。先行指標となる受注高の減少は気になる。コロナ禍に伴う経済活動の停滞や企業収益の悪化を受け、今期は製造業の新規・更新投資、宿泊・商業施設、空港関連のプロジェクトで計画の中止や延期があったと聞く。民間設備投資が減退傾向なのは間違いない。

E 堅調に推移している公共投資を背景に土木の受注高を大幅に増加させているゼネコンもあるが、建築は厳しい受注環境が続いているようだ。受注高の土木・建築の比率をみても、逆転とまではいかないが、結果として土木の比率が高まっている企業もある。

D それだけ建築の受注環境が厳しいということか。コロナ禍が収束すれば、市場状況は改善に向かうとする向きもあるが、それも「社会全体に景気回復の実感が広がっていけば」という条件付きだ。

A 「本当の意味で数字として業績が回復していくのは2年後」という声があるように、当面は民間投資の減退傾向が続くことになるだろう。ゼネコン各社にとっては厳しい経営のかじ取りが当面続くことになりそうだ。



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