【記者座談会】団体の賀詞交歓会 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】団体の賀詞交歓会

A 令和として最初の新年を迎え、業界団体の多くが賀詞交歓会を開いている。ことしの雰囲気はどうだろうか。
B 6日に開かれた建設業関係11団体の新春賀詞交歓会は、好調な業況を背景に約1300人が参加して、ことしも盛況だった。主催者や来賓ら、ほとんどの人が昨年を象徴する出来事として、多発・激甚化する自然災害を挙げていた。社会資本が防災・減災面で果たす役割について国民理解が深まりつつある中、国土強靱化が一層進んでいくことへの期待感が表れていたと思う。
C 社会資本の整備・維持管理に限らず、災害対応でも国民の安全・安心を支える建設業にとって、体制維持の前提となる担い手の確保・育成は年々切迫感が高まっている。日本建設業連合会の山内隆司会長は週休2日、4週8閉所を中心とした働き方改革の推進とともに、建設キャリアアップシステムの浸透を強調した。特に同システムは国土交通省がモデル工事を試行することから「近い将来における公共工事のシステム義務化への第一歩だと考えている」と明かした。
D 踏み込んだ発言に対し、会場内からは驚きの声も聞かれたけど、建設業の健全な発展に向けた改革は「待ったなし」という強い意志を感じた。業界が一体となって課題解決に取り組んでいくとする機運醸成、意思統一にもつながったのではないかな。
B 当日は東京オリンピック・パラリンピックの開幕までちょうど200日だった。小池百合子東京都知事は「オールジャパンでの大会成功」を訴えた。大会期間中だけでなく、終了後もその経済効果が持続し、それこそ「オールジャパン」に多くの恩恵がもたされるといいね。

建設業の持続的発展に強い意志をみせる日建連の山内会長

レジリエント加速、担い手育成に注力

A ところで、日本建築学会、日本建築家協会(JIA)、東京建築士会の建築3会も6日に新年交礼会を開いたけど、どうだったのか。
E 少子高齢化、人口減少社会が進む中、建築界でも持続的発展に向けた次世代の育成が喫緊の課題になっている。激甚化する風水害や、近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、自然災害への対応も急務だ。各会長もあいさつの中で、若手の育成と弾力性があり災害に強いレジリエント建築の必要性を強調していた。
F 日本建築学会の竹脇出会長は、2019年10月に設置した2つの会長タスクフォース(TF)について触れていた。若手教育TFは、若手会員に対する表彰制度の充実など建築界の担い手育成に向けて、より幅広い検討を進める。レジリエント建築TFでは、自然災害による被害を踏まえ、良質な建築ストックの形成を後押しする既存建築物の耐震・機能改修、低炭素化社会への貢献など「建築の強化」に向けて検討するとした。
G 竹脇会長は、レジリエント建築TFについて「計画・構造・環境のあらゆる分野の力を集結し、独自の検討を進めている」とした上で、「取り組みをさらに加速させる」と意欲を見せていた。「強い建築」の実現に向けては、SDGs(持続可能な開発目標)に盛り込まれている17の目標を踏まえ検討を進める。
E SDGsへの対応は、乾杯の音頭をとったJIAの六鹿正治会長が「取り組みが企業でもより深くなる」と、ことしのトレンドとして挙げていた。都市防災も課題に挙げ、広域的なレジリエント対応の必要性も強調していた。
A 担い手確保や災害対応は、個社の努力では限界がある。建築界の持続的発展と強靱な国土づくりに向け、建築に携わる分野間のさらなる連携強化に期待したいね。

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